高校生で対人恐怖症とうつ病を発症。正しい知識と周囲の理解が重要。

高校一年のとき対人恐怖症にかかりました。
それまで元気だったのに、人と全く会話できない状態になり、元気がなくなりました。
さらに、軽いうつ病を併発しました。

先生や親からは「怠けるな」「元気だせ」と叱咤激励されました。
私も自分が精神疾患になったとは知らなかったので「甘え」のせいだと思い、努力しましたが、
日に日に、心身ともに激しい虚脱感に襲われていき、努力ではとてもカバーできず、
「私はダメ人間なんだ」と、絶望的な気分になりました。
あらゆる物事への意欲・関心が低下し、部活も辞め、成績もみるみる下がっていきました。

ごく親しい友人・先生とだけは会話できましたが、それ以外の生徒・先生とは目も合わせられず、沈黙してしまうので、無視していると勘違いされ、嫌われてしまいました。

休み時間に、混み合う廊下を歩くのも怖く、
体育の授業で、遮蔽物のない広いグラウンドに出るのも視線をまともに浴びるような気がして落ち着かず、
かといって、教室で一人座っているのも目立つし、完全に居場所がなくなってしまいました。

両親に反抗して学校を無断で休むようになりました（このとき両親は「不良になった」と思って、大変心配していたそうです）。
家族から「怠け者」というふうな冷たい目で見られ、私は、家庭からも居場所がなくなったような気がしました。
ヤケになって髪を染め、ゲームセンターに入り浸り、本当の不良になってしまいました。
その後も私は様々な疾患を併発していき、卒業までに人しれず何度も自死を試みました。


『ルポ・精神病棟』（大熊一夫 著、朝日新聞社）には、ある中学生が精神疾患を罹患し、家族に分かって貰えないため暴れ、駆けつけた警察官に補導、精神病棟送りになって、鉄格子のなかで非人道的待遇を受けたという話が記録されています。

これは昭和48年のルポですが、現代でもこれ程ではないにしても、非人道的待遇が残されていることが雨宮処凛さんなどの識者の著書やブログで言及されています。

私の場合は、大学に入学して、精神疾患に詳しい教授に「疾患ではないか」と指摘され、病院を紹介して貰ったおかげで助かったのですが、
前述のルポの少年のように理解者が現れず、見放されていたらどうなっていたのかと空恐ろしい気持ちになります。

最初に通院した病院では、ジプレキサを処方されました。
万能薬で、興奮や落ち込みなど、様々な症状が改善されるのですが、とても強く、最初は飲むとグッタリとなって眠る日々が続きました。
慣れてもなんだか体がダルくて、妙にソワソワしてしまいます。

転院し、そこの医者が「ジプレキサは強いから」と量を減らしてくれたので、少し改善されました。
しかしこの医者は薬を増やしたがる人で、ジプレキサは減ったけど、他の薬が増えてしまいました。


精神科医は薬を出せば出すほど、薬剤メーカーからお金が貰えるという話は前述の『ルポ・精神病棟』にも書かれてますし、その慣習は未だにはびこっているようで、一般的にも有名な話です。
話の真偽は不明ですが、ともかく薬を出したがる医者が多いのは確かなので、精神疾患になったばかりの人は要注意です。
しかしその後、私は転院し、良い病院と医者に恵まれて、薬を減らして貰うことができました。

エチゾラム錠0.5mg、クエチアピン錠25mg、グッドミン錠0.25mg、バレリン錠200mg、など、作用の弱い薬です。


おかげで病状が安定し、大学も卒業し健常者と共に仕事をしています。
家族も友人も理解してくれて幸せを取り戻すことができましたが、薬の副作用や、不定期に来る病気の再発に悩まされる日々です。


精神疾患は完治する人もいますが、大抵は、完治が難しい病気で、一生うまく付き合う覚悟が必要です。

通院して服薬したから、もうあなたは大丈夫、あとは努力次第、だから早く学校・職場に復帰して頑張りなさい、とハッパをかけるのはいけません。

また、もしも、あなたの周囲に当時の私のような変わった人が居る場合、「怠けている」と決めつけるのではなく、精神疾患を疑い、冷静に話を聞いてあげるようにして下さい。

患者を支えるには、精神疾患に対する理解や、正しい知識が必要です。
普段からアンテナを張り巡らせて勉強をして下さい。
医者の「服薬」も大切ですが一番の薬は周囲の「支え」です。