子宮筋腫に悩む方へ腹腔鏡による手術で助けになりたい (4/9) 四谷メディカルキューブ 副院長 ウィメンズセンター長 子安 保喜 先生に聞く
掲載日: 2014年05月26日
記者: 具志林太郎
自己血による輸血は希釈式と術中回収式の組み合わせ
記者:手術の際は気をつけられていることはございますか?
子安先生:手術の際の輸血の扱いも子宮筋腫核出手術では重要なテーマとなります。大きな筋層内筋腫や多発性筋腫・頸部筋腫などでは出血量が多くなる傾向があります。
出血が増えると輸血が必要になりますが、他人の血液を用いた同種血輸血と呼ばれる輸血方法には感染症などのリスクも伴いますので医師としてもできれば避けたいところです。
そのため当院では出血量を減らす工夫をすることはもちろんですが、出血した際も感染症の影響を考えて自己血輸血を行っています。
自己血輸血とは他人の血液を使用せず、患者さんご自身の血液を輸血に使用するということです。自己血を使用するには、貯血式、希釈式、術中回収式の3つの方法がありまして、当院では希釈式と術中回収式を組み合わせて使用しています。
一般的には貯血式を採用している施設が多いのですが、貯血式ですと、何度か来院して頂いてご自身の血を貯めることになりますので、患者さんの負担になると考えています。また、この方法ですと過不足が生じたり、血液の取り違えのリスクも考えられます。
希釈式と術中回収式では手術前に来院して頂く必要はござません。希釈式は、手術直前に手術室で患者さんから600~1000cc程度の自己血を採取し同量の輸液を行い、術後に患者さんに戻す方法です。術中回収式は手術中にお腹の中に出血した血液を、清潔なルートで回収・洗浄し、精製した血液にフィルターを通して輸血する方法です。いわば血液リサイクルをする方法です。
記者:子宮核出手術を選択され子宮を残したいという方は妊娠を希望されるからでしょうか?
子安先生:当院では原則として患者さんのご希望に添って選択しています。妊娠を希望される方はもちろんですし、女性としてどうしても子宮を残したいと希望される方もいらっしゃいます。
8時間をかけて総数508個の筋腫を核出したケースや、総重量3.5kgの筋腫を核出して子宮を残したケースもございます。実例を挙げたこれらの手術は私が行った中でも最も大変だった手術の一つです。