子宮筋腫に悩む方へ腹腔鏡による手術で助けになりたい (3/9) 四谷メディカルキューブ 副院長 ウィメンズセンター長 子安 保喜 先生に聞く
掲載日: 2014年05月26日
記者: 具志林太郎
深いところにある小さい筋腫まで取り除くことが大切

記者:ホルモン療法を行わない理由について教えて頂けますか?
子安先生:ホルモン療法を行うことで、小さい筋腫が一時的に消えてしまい取り残しの原因になる可能性があるからです。
ホルモン療法の利点は大きい筋腫の体積がホルモン剤の作用により小さくなり手術が行いやすくなることです。大きい筋腫はそれで良いのですが、他にも小さい筋腫があった場合は一時的に消えてしまい取り残すことになってします。そして取り残した小さな筋腫はホルモンの影響が無くなるとすぐ元通りの大きさに戻ります。またその後、数年で大きくなったり症状が出るなど再手術が必要になることもあります。
子宮筋腫は再発しやすいので、筋腫を手術で完全に除去してもその時になかった筋腫が新たに出てくる可能性までは排除できません。しかし、手術の時に存在する筋腫はすべて取るべきで、取り残しによる再発は避けるべきだと考えています。
記者:小さい筋腫まで取ることは難しいと伺いました。
子安先生:当院では、取り残しによる再発をどうしても防ぎたいと考えていますので、手術中に超音波検査を行い徹底して小さい筋腫を見つけます。
小さい筋腫でも子宮内膣に近いものは、過多月経や不正出血などの原因となります。そのため小さな筋腫であっても見つけた場合は表面の筋腫だけでなく深いところの筋腫も除去する必要があります。
実は、深いところにある小さい筋腫は見つけることも除去することも難しいのです。特に腹腔鏡のみの手術ですと、鉗子のみで行いますので、深い小さな筋腫を除去することは難しくなります。
そこで、当院では小切開を加えることで筋腫を直接手で触れるようにしています。超音波検査を併用して直接手で触れることができれば深い小さな筋腫であっても特定して除去できるからです。
もちろん、多発傾向の方は新たに筋腫ができる再発をおこしやすいので手術時点でのすべての筋腫を除去しても再発の可能性は残ります。それでも、もし再発するとしても少しでも先延ばししてあげたいと思い取り組んでいます。