子宮筋腫に悩む方へ腹腔鏡による手術で助けになりたい (2/9) 四谷メディカルキューブ 副院長 ウィメンズセンター長 子安 保喜 先生に聞く
掲載日: 2014年05月26日
記者: 具志林太郎
腹腔鏡に小切開を加えた腹腔鏡補助下子宮核出術に強み
記者:子宮筋腫手術の具体的な方法を教えて頂けますか?
子安先生:手術を行うべきという判断ができましたら、子宮をすべて取るか、子宮を残して筋腫のみを核出するかという判断を行います。さらに手術では開腹が必要か腹腔鏡手術が可能か、もしくは腹腔鏡を用いつつも小さく切開を加える腹腔鏡補助下手術するかを考えます。
腹腔鏡で子宮を残す筋腫核出手術を行うには、3つの独立した工程を経る必要があります。1つ目は筋腫を子宮からくり抜く核出という操作です。2つ目は核出した後の子宮の筋層の傷を修復することです。3つ目は、核出した筋腫を対外に取り出す操作です。
開腹手術にした場合は以上の操作をすべて手で行えますが、腹腔鏡手術では手が使えず、鉗子(カンシ)とよばれる細い器具で行うためその1つ1つの操作に非常に時間がかかります。また、筋腫の大きさや数、筋腫のできている場所、癒着の状態によっては操作そのものが難しくなります。つまり手技的に非常に難易度の高い手術といえます。
そのため腹腔鏡のみでは処置が難しい症例も出てきます。そのような場合は、開腹手術を勧められるケースがほとんどです。つまり、一般的な子宮筋腫の手術は、腹腔鏡で1cm程度の傷で済むか開腹手術で15cmの傷になるかというどちらかの選択になってしまいます。
当院では、腹腔鏡を用いながら、恥骨上の1箇所のみ小切開を加える腹腔鏡補助下手術を行えますので、例えば、開腹手術で15cmの皮膚切開が必要な手術を腹腔鏡と3~4cmの小切開の組み合わせで行うことが可能です。
記者:四谷メディカルキューブでは子宮筋腫の開腹手術は行っていないということでしょうか?
子安先生:はい、当院では最初から開腹が必要な子宮筋腫の手術は行っていません。例外として腹腔鏡手術で始めたものの、手術中に開腹移行するケースはあります。実際、癒着がひどく開腹に移行したケースが3例あります。それでも全体で3000症例ほど行っている中での3例ですので開腹手術への移行率は非常に低いと言えます。
基本的には、腹腔鏡のみでは対応が難しいケースでは小切開を加えた腹腔鏡補助下手術を用いて、世界で一番小さい傷口を目標にして手術を行っています。
記者:子宮筋腫の核出手術が行える筋腫というのは、一般的にはどの程度の大きさでしょうか?
子安先生:一般的には筋腫の大きさが8~10cm以下で、数では5~10個位までを適応としている施設が多いようです。また腹腔鏡手術においてはホルモン療法を併用することが主流だと思います。
例えば、ホルモン剤を用いて10cm程度ある筋腫を5cm位に小さくしてから腹腔鏡手術を行うという方法です。ところが、私たちにはこだわりがございましてホルモン療法を一切行っていません。