徐々に食事が喉を通りづらくなり、医者へ行ったら食道癌でした。

父の体験談です。

10年位前の話です。
病名が判明する2ヶ月程前から、食べ物を食べるのが段々飲み込みづらくなっていた様です。
おかゆなら食べられるだろうとがんばっていましたが、当時、主人の父（私の義父）と仕事をしていたので、義父もさすがに父の様子はおかしいと感じていた様です。
父は頑固なわりに、臆病な所もあったので、周りから病院に行けと言っても、頑として行かないって言いはっていたそうです。
決定的になったのは、仕事中、あまり食べていなかったせいでフラフラになり、貧血を起こしたらしく、義父から「お父さん、絶対どこか悪いと思う、仕事中もフラフラだし、お昼もあまり食べれてないし、目に見えて痩せていくし。でも、うちらが言っても聞く耳持たないから子供たちから言った方が聞いてくれるかもしれないから」と心配されました。

実家へ行き、母と弟に前もって義父の言葉を伝え、父に「もう諦めて病院行こう」って促したら、年末に近い忙しい時期にやっと病院に行きました。
後日、かかりつけの医者へ、母が付き添って行ったら胃に腫瘍があることが判明。
「なんでここまでほったらかしにしたのっ」と怒られたそうです。
紹介状を書くからすぐ行ってくれと言われ、県立のがんセンターへ。
そちらでレントゲン、MRI、内視鏡検査等いくつも検査をし、結果、食道がんでした。
父の場合、画像で見ても食べ物が通るのも難しい位大きかったらしく、よく何ヶ月も我慢できたねと言われたそうです。
年末で本当なら手術はできなかったのだけど、すぐに手術をした方がいいとのことで即入院。
先生たちの休み返上で入院後1週間で手術をしていただきました。

その日、私は仕事で朝から行けず、仕事が終わってから夕方に行きました。
朝8時位から始まって私が病院に付いたのは4時過ぎだったのですが、まだ終わっていませんでした。
夕方6時半ごろ、手術が終わり、先生に呼ばれてお話を聞きました。
食道をまるまる切り取り、胃を持ち上げて縫合したとのこと。
食道部分を切り開いた実物の腫瘍を見せてもらいました。
開いたのを筒状にもどしたものは完全に塞がった大きな腫瘍でした。
また、一緒に胆嚢も摘出。
胆嚢から今回の癌が悪性なのか、良性なのかを検査するとのことでした。
胆嚢自体はあるにこしたことはないが、なくてもいい臓器らしいのでまるっと取ったそうです。
後日、悪性ではないことが判明しています。
食道がんの原因はお酒にタバコ、まさに父の日常でした。

無事、手術は終了し、1週間はICUに。
術後、2～3日は言葉が出ず、アイコンタクトでみたいな感じでした。
ずっと点滴だけで栄養を補ってきましたが、ICUから出て数日から流動食から徐々に口からご飯を食べる練習でした。
最初は、なかなか飲み込むのが出来ず、飲み込めても逆流してきてしまいの繰り返しでした。
退院までに完全には普通の食べ物に戻すことはできませんでしたが、徐々に私達の食事と同じものに慣れて来ました。
手術の前と比べて、胆嚢を取ったせいもあるのですが、油ものがすぐお腹に来たり、10年経った今でも食べ物によっては未だに飲み込めず、逆流してくることがあります。

ある一定期間に抗癌剤も飲んでいました。
良性とはいえ、癌の移転を抑える為だと思います。

ひどくなる前に、おかしいと思ったらやはり、医者にかかるべきなのだと痛感した出来事でした。
今は年に一度大きく検査をして、経過を見ています。