発熱・口内炎・関節痛をともなう急性外陰潰瘍。幸いベーチェット病は陰性でした。 (写真あり)

急性外陰潰瘍（リップシュッツ潰瘍）は原因不明の珍しい病気で難病ベーチェット病との関係も示唆されており、不安になる部分の多い病気です。しかしネット上では経験者目線の情報が皆無といってよく、あってもベーチェット病の確定診断を受けている方のものか、まだ診断を受けられていない方のものです。
しかし、わたしは急性外陰潰瘍との確定診断をいただいていますので、なるべく詳しく書きたいと思います。場所が場所だけに病院に行くのは勇気がいると思いますが、ご参考になれば幸いです。

【発端】2月中頃、心理的に負担に思っていた書類を徹夜で仕上げたあと、体がふらついて頭や足の痛み、吐き気を感じました。
2時間ほど仮眠をとりましたが起きてみても治っておらず、体温を測ると9度近く。嘔吐もしてしまいました。インフルかと思って即座に近所の内科に行きましたが、喉痛や鼻水、咳などの症状が一切なく、病名不明としてカロナールを処方されました。
しかしカロナールでは一向に効かないので、ロキソニンを飲みました。それでも、熱が7度台後半を下回ることはなく、薬が切れると9度ほどに戻りました。
このとき自覚のあった症状は、頭痛、口内炎アフタ、足全体の痛み、顔・背中・首の大きなズキズキするニキビ、下痢、陰部のかゆみ、薄茶色のおりものです。
もっとも頭痛や関節痛は熱のせいだと思ってましたし、ニキビや口内炎、陰部は疲れのためだろうと思って、すぐ治ると思っていました。実際は陰部潰瘍が中心的な症状で発熱等は付随的な症状だったのですが、この段階では逆だと思いこんでいたのです。
また、病院に行くにしてもあまりにも全身痛むのでどこにかかったらよいのかわからなかったというのもあります。どこもかしこも初めて経験する痛みで、肌が痛いのか、神経が痛いのか、関節が痛いのかすらわかりませんでした。

【潰瘍発見】こうしてどうしたらよいのかわからないまま3日ほどがたちました。足の痛みが関節に集中していき、正座できないくらいに膝が腫れました。口内炎も1センチ以上ある大きなものが両ほほにできてしまって、食事が困難でした。また陰部の痛みも強くなり、排尿時強くしみるようになり、座っていても痛痒く気になりました。歩くときもかばってしまうので、関節の痛みとあいまって普通に歩けませんでした。
そこで鏡を使って見てみたところ大陰唇に口内炎そっくりのものが三つできていました。どれも1センチ以上あり、楕円形に深くえぐれてクレーターのように穴があいていて、白くぶあつい膜のようなものがクレーターにはりついています。これを見てようやく婦人科にいくべきだとわかりました。

【病院での処置】このような潰瘍は、見た目だけでは絞り込むことができないそうです。患部表面を少しこすり取ってヘルペスを始めとする微生物由来の病気かどうか検査してもらうことになりました。また抗生物質の点滴を受け、家での処方として、飲み薬・ステロイドの塗り薬をいただきました（検査・薬の名前は詳しくは写真をご覧ください）。
しかし原因となりうるウイルスや菌が見つからなかったそうで、2日後に再診をうけたとき、急性外陰部潰瘍と診断されました。もっとも原因がわかっていない病気なので、炎症を薬でおさえつつ、清潔にして体力の回復を待つほか治療法はありません。とにかく口内炎が痛かったのですがふやかしたグラノーラや栄養ゼリー（パックのままでは痛いので、グラスにあけて飲みます）を頑張って食べました。

【関節痛の悪化】一方、最初に発熱してから1～2週間ほどのころ、関節の痛む場所がだんだん2.3日単位で移動するようになりました。ある日は足首がまがらず階段を降りるのが怖かったり、あるいは左手首〜肘がスマホさえ持てないほど痛かったりしました。一番辛かったのはみぞおちにきたときで、声が出るほど痛かったです。
場所は主に膝・肩・肘・足首・手首などでしたが、痛みの出方は左右不対称で、必ず左右のどちらかずつなりました。もう片方に比べて腫れている以外、見た目には変化がわかりませんでした。市販の湿布などをはっても全く効果を感じられませんでした。これもやはりどうすることもできず、ひたすら自然治癒を待ちました。

【ベーチェット病の検査】このように不調が外陰部のみではなかったので、ベーチェット病かもしれないと細胞診もしていただいていました。
そして3度目の診療（発熱から2週間ほどの頃です）で、細胞診の結果がかえってきましたが、ベーチェット病陰性でした。この頃には陰部のクレーターも半分近く縮んでおり、口内炎も小さくなっていて関節痛以外はほとんどおさまっていました。そのため、これが最後の診察となりました。
なおこのとき、生理が2週間ほど早まってきました。早かったせいか、大量の血の塊や鮮血がでていたので念のため子宮をエコーでみていただきましたが、異常はありませんでした。

【初発の全体の流れ】以上、全体の流れを振り返ると、諸症状のためにほとんど寝込んでいたのが最初の1週間ほどです。その後陰部がだいぶよくなるまで1週間ほどかかりました。一方関節痛がやわらいで普通の人の速さで歩けるようになるまでは発熱から4週間ほどかかりました。時間がたつにつれ、目立つ症状が変わっていったのが特徴的で、最初は発熱・頭痛が目立つように思えたのですが、数日後からは口内炎と外陰部の痛みが目立ちだし、その後さらに関節痛に悩まされました。もともと頭痛持ちですが、頭痛も他の痛みも今まで経験したものとは痛み方が異なっていて、風邪などとは違う異様な感じがしたのが印象に残りました。

【再発】そして、最初の発熱から約一ヶ月ほどした3月中旬、また外陰部に一箇所潰瘍ができ、ミルクティー色をしたおりものがでました。熱は7度前後におさまっていましたし、以前頂いた薬をすぐ塗ったのでそれ以上悪化しませんでしたが、やはり膝関節の痛みがありました。口内炎はできませんでした。
また、このときは左下の腰骨付近を中心とした強い腹痛がありました。特に排便時ひどく、悲鳴がでるほど強く痛みました。食事をとるたびすぐに下痢してしまいました。もともとそのあたりはよく痛くなっていましたしお腹も壊しやすいほうでしたが、痛みも下痢のひどさも普段とはまるで違いました。
しかしその後は、特に急性外陰潰瘍を思わせる症状には出会っていません。

【急性外陰潰瘍とベーチェット病】急性外陰潰瘍になられた方は、まずベーチェット病のことを心配されると思います。私も、移動する関節痛などベーチェット病を思わせる症状があり、とても怖く思っていました。ベーチェット病は寒さやストレス、疲労が引き金になるそうですが、それにも当てはまっていました。わたしはとても寒がりで、9月に家で2時間ほど裸足でいただけで冷えてしまい、8度くらいの熱が出てしまうのです。急性外陰潰瘍と診断されたときも2月と寒い盛りで、しかもストレスフルな書類を徹夜でしあげた後でした。
しかし一方で、症状のひどかった時期が1～2週間ほどと短かったこと、皮膚症状が巨大なニキビ程度だったこと、口内炎の数が少ないことなどからして、ベーチェット病にしては軽すぎる感じがしていました。急性外陰潰瘍という診断に、ひとまずほっとしました。先生からは、また同じような状態がでて、かつベーチェット病かと心配になるようならば、次は総合内科にかかるようにと教えていただきました。
今のところ2月・3月の二度で済んでいますが、ときどき似た痛みを感じることはあります。急性外陰潰瘍自体繰り返す病気だそうですので、今後また発症するきっかけなど、気づいたことがあればレポートしたいと思います。