成人を迎えて婦人科系の検査を受け見つかった卵巣のう腫、入院手術体験記。

20代前半で卵巣のう腫と診断され、手術をしました。
同じ病気で悩まれている方、術後の痛みで苦しんでいる方、手術を控えている方に少しでも参考になればと思い、投稿します。

【発覚】
成人を迎えて婦人科系の検査を受けた方が良いと考え、エコー検査をした結果見つかりました。
右側が15cm大まで腫れており、見た目にも下腹部が膨張している状態。痛みは一切無く、よく「腸捻転を併発してあまりの痛みに病院に担ぎ込まれて初めて発覚」というようなことはありませんでした。

そこは個人経営の病院でしたので、市内有数の実績を持つ「民間病院」への紹介状を書いていただいてから受診しました。その病院は人気があるようで紹介状がないと受診出来ない病院でした。

【診察】
経膣エコー検査や検尿、CT検査により詳しい大きさや悪性か良性の判断がなされました。
良性でしたが、捻転(大きすぎるから可能性は低いと言われましたが)の心配もあるということで一ヶ月後に手術することが決まりました。

癒着の可能性もありました。若いし始めての手術だからまず無いだろうとのことでしたが、1度手術をすると2回目以降は癒着を起こしやすいようです。また、糖尿病など太りすぎている場合もその可能性を高めるそう。

【手術】
腹腔鏡手術であれば回復も早く、痛みも少ないようですがあまりに大きいので開腹手術に。
15cm大なので卵巣が伸びきっていることが推測され、元には戻せないかもしれないという説明も受けました。しかし片側だけだったのでもう片方があれば機能は果たせるとのことでした。

実際のところ中身を吸い出してもペラペラにならず済んだようで温存して元通りに縫っていただくことが出来ました。

当日は全身麻酔。硬膜外麻酔という世間で「痛い」と言われている麻酔もされるという説明を受けて恐れていましたが、実際は「硬膜外麻酔をするための麻酔を」があり、全く痛みは感じませんでした。
背中とあたりをぬるぬる何かが入っていく違和感があり、酸素マスク(麻酔が流し込まれる)を装着されて「眠たいような…」と思っていた次の瞬間、手術が終わっていました(笑)

ペチペチ叩かれたり何度も名前を呼ばれたり、ものすごく眠たいのに目を開けていないと起こされるのが個人的に嫌でした。しかし、気付いたら病室にいた。という場合もあるようですね。

術後は鼻の入り口に短い酸素チューブが配置され、心電図が貼られました。当日朝に履いた膝下まである圧着靴下の上から塞栓症防止のためのマッサージ機のようなものも設置され、背中には痛み止めが流されて左手の甲には点滴。指には血中の酸素濃度を測る機械を挟まれて、一切身動きが出来ない状態に。

麻酔が効いている状態なので目覚めて2時間程度は鼻チューブを入れないといけないという説明を受けましたが、私は過敏症で、これが痒くてムズムズして鬱陶しく、軽いパニック状態に陥り、かえって息がしづらかった。
これを伝えたところ、すぐに外してもらうことができました。開放感。

【痛みについて】
手術初体験ということもあり、あるゆる面で痛みを感じてとても辛かったです。耐性も知識も無かったのでこの期間が一番焦りと辛さがありました。

・まず足のマッサージ機的なもの。これは術後1日目の朝まで装着されていましたが、夜中に何度も目が覚めました。
足元が拘束されているというパニック+強い力で揉まれている痛みに見舞われている状態。

・左手甲の点滴。手の甲に点滴をされるとものすごく痛いです。これには理由があって、肘の裏と違って動かせない場所だから。
左手はほぼ一切使い物になりませんでした。

・傷口の痛み。もちろんこれが一番でした。起き上がれない！寝返りも打てない！寝てても辛い！
詳しい痛みの推移については下記に記します。

【術後1日目】
私は喘息持ちだった時期があり、ロキソプロフェンを使用できないということでカロナールを処方されていましたが、これが全然効かないんですね。
間隔を空けなければいけないところを、ほとんど開けずにしょっちゅう飲んでいましたが効かず、背中の痛み止めの流れる頻度を上げてもらいました。

この日は一日中絶食でした。まずは歩行訓練から始まり、トイレまで歩けるかどうかの訓練をクリアできれば尿管のカテーテル？を外してもらえるということで、本当は飲まず食わず+痛みでフラッフラでしたが無理してトイレまで歩き、「歩けます！」と伝えて外してもらいました。塞栓症防止のアレも外してもらっていたので、まず下半身が自由になりました。

しばらくは痛みも治まっていましたが陽が沈む頃に突然痛みに見舞われました。どうやら夕方〜夜は何かと病状が悪くなるようです。

前述のカロナールも痛み止めもほぼ意味を成さないレベルの痛み。加えて「謎の全身ムズムズ症」でジッとしていると堪え難いムズムズ感に見舞われ、しかし寝返りは痛くて打てない、起き上がっても痛い、寝れない、ということでまさに生き地獄でした。
このムズムズ症候群はたまたま私が感じただけで、多分他にはいらっしゃらないんじゃないかな？と思います。ナントカ神経がおかしくなったのか、背中のムズムズが一番酷かったので、痛み止めを入れている不快感が起こしたのかなということにしています。

看護師さんにアイスノンを2つ持ってきていただいて、脇の下に挟んで冷たさで誤魔化しながらなんとか就寝。21時消灯で22時過ぎまでは格闘していたようです。

【術後2日目】
当時の日記から抜粋。
「朝からとても痛かったが、座薬を入れてもらってなんとかマシになる。
背中の痛み止めは終わってしまったので抜かれる。
寝てても気が紛れないしテレビを見たりメールをして気を紛らわす。だいぶ気分が良い。

日中は図書室に行ったり
動画見たりテレビ見たりゴロゴロして過ごした」

この日も痛みが強かったのですが、動く気力が出てきて点滴を引きずりながら移動していました。まだ痛みでまっすぐ立てないので腰を曲げながら…

【術後3日目】
この日からお粥が出てきました。これが良かった。
何か食べ物が体に入ると、やっぱり体調が変わります。

そして新たな痛み、便秘が加わりました。術後一度も排便が出来ていなかったので、なんとなく下腹部が痛んでいました。

点滴はこの日で終わり、身軽になりました。

この頃怯えていたのが「ずっと痛いんじゃないか？」疑惑です。
実際、術後ほとんど痛みは軽減されず、ご飯のおかげで元気は出てきたけど起き上がるのも歩くのも座るのも辛い…と若干テンションが下がっていました。

ところが次の日から体調が劇的に変化していきます。

【術後4日目】
【術後5日目】
この辺りに突然痛みが治まってきました。4日目から変わるよ！とは聞いていましたが前日の体調では有り得ないと思っていたので、驚きの変化でした。

具体的には腰を曲げなくても痛くない、起き上がるのがスムーズに、排尿排便痛(この頃は便秘も改善されていました)がほとんど無くなるといった感じです。

ただし体力が無いので、すぐに疲れて横になっていましたが「動ける」ということで精神的にも随分変化があります。


【退院】
ほぼ痛くなくなり、ただゴロゴロする日が2日続いた後、術後8日目に退院。

同じ部屋の腹腔鏡手術の方々は術後4日で退院されていました。付き添いの家族によると手術が終わってすぐに元気そうにおしゃべりしてた…とのことですので、出来れば腹腔鏡手術で取り除ける段階で手術を受けたかった。


【退院後】
術後10日目で早速駅前まで買い物に行き、しばらく散歩しました。あまり歩き回るのは良くないようでしたが、どの程度体力があるか知りたくて行ってみました。結果、普通に歩けました。


【その他】
個室料金がものすごく高かったため、差額ベッド代のかからない4人部屋をチョイス。
同室の方はしょっちゅう変わりました。家族の方や看護師さんとの会話が聞こえてきますが、敗血症寸前の膀胱炎で救急搬送されたらしい方や、目の手術を受けた方などさまざま。
付き添いの方の声量に配慮がない時などは多少辛くはありました。

以上、痛みに焦点を絞って書いてみました。術後は痛みがあまりにもしんどくてしょっちゅうネットサーフィンをして気を紛らわせていたので、何かの参考になれば幸いです。

お世話になった病院は、神奈川県のKゆう病院です。
「すごく小さい！」と絶賛されるほど小さな傷口で済みました。