急性心筋梗塞の予兆は1年前から。最初は首の違和感でした。

日本人の死亡原因の上位を占める心疾患、良く聞く言葉で表現するならば急性心筋梗塞ということになるのでしょう。
急性心筋梗塞とは簡単に言えば、心臓付近の血管が詰まり、そこより先の筋肉が壊死することです。当然のことながら、血流の途絶えた心臓にも深刻なダメージを与えます。急性心筋梗塞が起こった場合、高い確率でその患者さんは死の危険に晒されます。

「急性心筋梗塞の予兆、まえぶれ」と調べてみると、だいたい焼けつくような激しい胸の痛みや圧迫感と出てきます。顎、左上腕、背中、歯などが痛む場合もあり、これらの痛みがあって、さらに激しい胸の痛みを感じた場合は一刻も早く救急車を呼びましょうと、どこを見てもだいたいはこのような内容で書かれています。
しかし、これらの症状はまえぶれではありません、すでに発症のレベルであり、まえぶれとは違うものです。つまり、まえぶれもなく突然、激しい胸の痛みに襲われて倒れ、救急車で運ばれる、だから、急性なんだと、そういうことになるのでしょうね。

私も以前は急性心筋梗塞というくらいだから、急激に痛みがきて、そのまま亡くなる可能性が高いのだろうと思っていました。しかし、自分が虚血性心疾患という病名をもらいカテーテルによるステント治療をしてもらって、初めてわかりました。
「まえぶれ」はあるのです、それも、かなり前からです。ただ、本人がそれに気がつかない、あるいは、たいしたものではないと思っているので、人に話さないというだけなのではないでしょうか。
急性心筋梗塞を発症した人は亡くなる可能性が高いので、もうその人たちの話が聞けないということもデータ不足の原因ではないのかと思います。

私はある年の四月にステント治療を受けました。
その前年の四月、つまり、一年前にはもう「まえぶれ」が自分の体に表れていたのです。
最初は首の違和感でした。痛みではなく、なんとも表現のしようのない、今まで感じたことのないものでしたが、それは、ほんの一分ほどで収まり、すぐに忘れてしまいました。
六月に会社の健康診断があり、心電図の異常を指摘されました。コレステロールが高いとの指摘もありましたが、現場仕事が忙しく再検査には行きませんでした。
八月になると首の周辺の違和感が頻繁に表れるようになり、十月頃にはほぼ毎朝その症状が表れるようになっていました。しかし、その症状は、家を出て歩き始めた朝だけに限られ、あとは一日中何もなく健康そのものという感じだったので、私はまだ「いつか治る」と思っていましたし、誰にもその症状のことは話してはいませんでした。この頃には不整脈に気がつき、違和感の原因は心臓周辺であると思い始めていました。
年が明けると、違和感は朝だけではなくなり、また、時間的にも長くなってきていました。
二月には首周辺だけでなく心臓周辺にも違和感のようなものを感じるようになりましたが、この頃は現場の仕事が特に忙しく、家にいることはほとんどありませんでしたしたので、お医者さんに行く暇もありませんでした。
三月末に仕事が暇になったとき、初めて会社の責任者に心臓のこと、不整脈のことを伝え、かかりつけの内科から循環器クリニックを紹介してもらい、そこで検査をしてもらいました。
検査の結果を見た先生は、大きな病院を紹介するのでこのまま、そちらに行きなさい、電話もしておくからと。そして、病院に着くと、全て話が通っているらしく、そのまま緊急入院、検査、治療となりました。

治療後に冠動脈の一本が90％閉塞していると聞いて恐ろしくなりました。

症状を振り返ってみると、年末には既に90％レベルで冠動脈は閉塞していたのだと思います。そんな状態で、私は日本国中の現場を歩いていたのです。

大きな病院で最初に先生が私に言った言葉は「心電図を見ました。非常に危険な波形です」と。ということは、年末からこの危険な状態は続いていたわけで、三月に責任者にこの症状を伝える前に血管が完全閉塞して倒れたら、どうなっていたか。
家族にも違和感、不整脈の話はしていませんでしたから「あいつは何のまえぶれもなく倒れて、急性心筋梗塞で」と、そうなるわけですね。

いろいろとネット上で見てみましたが、こんな「まえぶれ、予兆」という話は載ってはいませんでした。どこを見ても、胸の痛みが、左肩の痛みがと、まえぶれではなく発症直前のことしか書いてありません。
あの頃、もし、こんな記事がでていれば、すぐにお医者さんに行ったのにな、と思います。

まえぶれはあるでしょう、心臓周辺の血管が80％とか90％とか閉塞するのですから、それなりの予兆がないわけはないのです。ただ、みんなわからないだけ、話さないだけだと思います。

この記事を見て「自分も同じ症状がある」と、お医者さんに行って、それで急性心筋梗塞発症を防ぐことができるのならば幸いです。