足が疼く不快な感覚が睡眠を妨げる、レストレスレッグ症候群。

三十代半ばになってから、慢性的に怠く疲れ気味で、肩こりや頭痛、めまい・下痢など自律神経失調症のような症状があり、寝つきが悪く夜中に目が覚めてしまうことが多くなった。
知人から、こちらの病院の先生は睡眠のプロフェッショナルだと聞き受診した。
診察で、夜横になる時に足にむずむずするような違和感は無いかと聞かれ、よくよく考えるとだるいようなピリピリとした感じが確かにあり、寝付けない時などはよくさすっていた。
凝りなどとはまた違う感覚で、この部分だ！と一点を示せるような感じではなく、足全体にムズムズと何とも言えない感触。
立ち上がって歩いたりすると収まるのだが、また横になるとその奇妙な感覚を足に覚え、自分では日頃の疲れから来ているのだろうと考えて、睡眠薬の一つでも処方してもらえたら、という感覚でいた。
その事を医師に伝えると「レストレスレッグ症候群」の可能性があるという。
別名「むずむず足症候群」というらしく、それを聞いたときは少し笑ってしまった。
面白いネーミング（というかそのものズバリであるが）のわりに、少々厄介な病気のようで、疲れているから足に変な感触があるのではなく、足に変な感触があることによって睡眠の質が低下して、体に疲れが蓄積していくということらしかった。

そして、この足の疼きは睡眠薬では押さえ込めないほど強力らしく、本人が眠っていても足はピクピクと動いていて、この動きによって深い睡眠が邪魔され、体の疲れが残ったまま次の日を迎えてしまうのだという。
この症状を抑えられるビシフロールという錠剤を、少ない量から服用して徐々に規定量まで上げていくことになった。
泊まり込みで寝ている状態を調べるという睡眠検査の予約をして、まずは投薬が始まった。
最初は0.125ｍｇから始まり、最終的には0.5ｍｇで落ち着いたのだが、これを飲み始めてから明らかにぐっすりと眠れて驚いた。

夕食後に飲むと、いつもの就寝時間までもたないぐらい眠くなり、（これは徐々に慣れてきた）体の余計な力が抜けてそのまま朝まで眠れるようになった。
足の疼きも起こらなくなり、飲み忘れた時に足の嫌な感覚が出るため、本当にこれに効いているんだなと実感した。
後日の睡眠検査では、薬を飲んだ時と飲まない時の脳波や息、筋肉の動きを体に計器をつけたまま寝て、更にその様子を動画で撮影した。

医師の見立てはドンピシャで、薬を飲んだ時には足の動き・睡眠の質に問題はなく、飲まない時には足が動いて、睡眠の質が低下しているという結果が出た。
診断から五年以上経つが、一年に一度の定期検査と服薬を継続で安定している。
この病気だとわからなかったら、眠れない=睡眠薬の処方で、効かない→強い薬→効かない→強い薬、のループに陥る人も少なくないと聞いた。

そして、睡眠の質の低下を放置することによって、様々な症状や病気を招く呼び水になってしまうことがわかり、早めに専門医にかかって良かったと思う。
どことなく体調が悪く、夕方や夜にかけて手足に落ち着かない感覚がある人は、ぜひ早めに睡眠の専門医を受診してみることをオススメする。