遺伝性の片頭痛がある日激痛に。市販薬で抑えるのは危険を伴う。

うちは母が酷い片頭痛持ちで、遺伝したのか私と弟も片頭痛持ちです。
それぞれ痛む部位は違いますが、一度片頭痛が起きてしまうと、
最低一日、酷ければ三日以上頭痛に苦しむ事もザラでした。
理由は全員、仕事などでのストレスや過労。
最初はそれぞれに合った市販薬を買って来て、それでなんとか対応していました。

ある日の夜、母が「頭が割れるように痛い」と訴え、
薬を飲ませたり、部屋を暗くして頭を冷やしたりして様子を見ましたが、
良くなるどころか、のたうち回るほど酷くなりました。
そこでさすがに「これはおかしい。脳の病気かも」と思い、救急車を呼びました。
(なにぶん、救急車を呼ぶというのは、普段の生活ではあまり経験しないことなので、
私が電話をするよう父に頼んだ時「救急車って何番だっけ！？」と一番焦っていました)
幸いCTを取っても特に異常はなく、脳神経外科に定期的に通うことで、
その後は落ち着きましたが……今度は私が、救急車のお世話になる羽目になりました。

その日は生理も近く、PMSの症状もあるので朝から調子が悪いな、とは思っていました。
目の奥がズキンズキンと痛み始めたので、「また片頭痛か」と思い、
市販薬を飲んで頭を冷えピタで冷やし、寝室を暗くして早めに休みました。
夫には「悪いけど、ごはんは自分で買って来て」と伝え、
彼も私の片頭痛は慣れっこだったので、「分かった」と了承していました。
市販薬は鎮静剤も入っているタイプなので、
すぐ眠れると思いましたが、一向に眠れる気配がない。
それどころか、いつもは片目の奥だけの痛みが両目になり、
両こめかみから前頭部にかけて、心臓の脈動に合わせて痛みだしたのです。
ズキンズキンどころか、頭が爆発するのでは、と思えるような、我慢できない痛みでした。

朝まで我慢して明日受診しようかとも考えましたが、
まだ宵の口、とても十数時間など我慢できる状態ではありません。
なにせ、一階にいる夫に訴えに行くことすら出来なかったのですから。
たまらず携帯で夫に電話、夫はすぐに飛んできてくれましたが、
その時には会話での意思疎通が出来ず、「痛い、痛い」と唸るばかりだったそうです。
その日の夫は運悪くお酒を飲んでしまっており、マイカーで病院受診は無理。
タクシーも考えましたが、尋常でない痛みで私が意識朦朧としてきたので、
救急車を呼ぶことに決めたそうです。

目を閉じても頭の中で光が点滅し、目を開けても明かりすら刺激になり、
心臓の脈動に合わせた両目と両こめかみ、前頭部の痛みがすさまじくて、
今思うととんでもない話ですが、
「今すぐ心臓が止まったら楽になるのに」と真剣に考えるほど、酷い痛みでした。
救急搬送されている時と、病院についてからの処置は、
正直ほとんど覚えていません。医師が何か質問してきたのは覚えていますが、
それにどう答えたかもはっきりしません。
ようやく辺りの様子が分かった時には、
私は点滴されており、ベッドに寝かされていました。

意識がしっかりしてきてから、医師に、
「脳神経外科を受診し、市販薬は飲まないように。すぐ捨てなさい」と言われました。
市販薬も依存性があるため、片頭痛だからと簡単に飲むと、
今回のようなことが起こることがあるそうです。
飲む量を守って服用していましたが、今回のはある意味オーバードーズと同じだと。
痛みは身体に異常があるというサインだし、それを素人判断で、
無理矢理抑え込もうとするのはかえって危険なんだと叱られました。

それからは脳神経外科を受診し、片頭痛の薬を処方して頂くようになりました。
最初はイミグランの値段に驚き、「こんな高いんじゃ、気楽に飲めないなあ」と
思いましたが、救急搬送よりはマシと思い、兆候がある時は飲むようにしました。
最近はジェネリック薬でスマトリプタンという薬も出てきたので、
それまでの半分の費用ですむようになりました。
ただ、最近は片頭痛の頻度が別の病気のせいか増えてきているので、
効き目の少し長い、アマージという薬も試しています。

片頭痛に苦しんでいる人は結構多いようですが、
「たかだか頭痛ぐらいで受診というのも」と、二の足を踏む人が多いそうです。
でもその痛みに、重度の病気が隠れていることもあります。
余りにも頻発するようなら、受診した方が安心だと思います。
もし片頭痛だったとしても、薬をもらっておけば、
「それでちゃんと治るから大丈夫」というお守りにもなりますしね。
あまり頭痛を軽く見ず、気になるようであれば受診をお勧めします。