頭痛、眼痛、息苦しさの原因は副鼻腔炎でした。

　1年前（2015年の正月明け）、年賀状の返事を書き終えた後、なんとなく両眼が重くなり、街の外灯がぼやけて見えるようになりました。スーパーに入ると、店内が暗く見え、商品の棚もぼやけて見えるようになりました。

　目の病気に間違いないと思い、早速眼科へ行って、詳しく検査をしてもらいましたが、異常なし。疲れ止め、ドライアイ用の目薬を処方されました。そのうち、目の周りが痛くなり、後頭部も痛むようになりました。今度は脳神経内科に行き、ＭＲＩ、ＭＲＡを撮りました。が、異常はありません。その間複数の眼科も受診しましたが、異常らしきものは見つかりませんでした。

　それでも目の周りや眼の奥の痛みはおさまりません。それどころか、目の焦点が合わなくなり、めまいに似た症状が出てきました。そして新たに発した首の痛み。今度は整形外科を受診しましたが、何の解決にもなりません。わらをもすがる思いで、民間療法や、鍼灸にも通いましたが、まったく効果がありません。お金もかかります。それでも治ればいいのですが、悪くなる一方で、すっかり滅入ってしまい、生きる希望も持てなくなってしまいました。

　気休めにもう一度、最初に行った眼科へ行きました。すると、先生は妙なことを言ったのです。「眉の上が痛むのは蓄膿症（副鼻腔炎）かもしれません。失礼だけど、一度、耳鼻科を受診してみてください。蓄膿症は放っておくと膿が視神経を犯して、失明することもある怖い病気です。すぐいらしてください。その結果をまたお知らせください」

　私は、即耳鼻科を受診しました。レントゲンを撮ると、やっぱり、目の周りに膿がたまっている様子がしっかりと写っているではありませんか。耳鼻科では、三ヶ月くらいで治るとのこと。抗生物質、と点鼻薬を処方され、週、2回くらい通院してくださいとのことでした。ほんの少し安心しながら通院していました。けれど一向に治る様子はありませんでした。そのうち、耳鳴りに似た嫌な感覚が出始めました。原因は膿だというのですが、とても不快で、耳の治療も始めたのです。すでに三ヶ月経過していました。

　ちょうど花粉症の時期でもあり、三月の冷たい風が、ますます状態を悪くさせてしまいました。治りが悪いので、再びレントゲンを撮りました。「一度、大きな病院でＣＴを撮ってください」との指示があり、紹介状をもって、ＣＴを撮りました。結果は大事に至らず、そのまま耳鼻科に通院してくださいとのこと。漢方薬を処方してもらい、再び通院しました。

　4月に入り、ますます悪くなってきました。痛みも増してきて、どうしようもなく、私はペインクリニックでブロック注射もしました。頭痛はなくなりましたが、眼痛は相変わらずです。暗い日々を過ごしました。病は心も痛めます。再び、生きていても仕方がないと思うようになりました。

　ある日、隣の区の救急病院の神経内科に再び足を運びました。もう一回、ＭＲＩを撮ろうと思ったのです。その時、受付の若い女性が、「うちの病院にも耳鼻科のいい先生がいるから一度受診してみたらいかがですか？」とすすめてくれたのです。再びわらをもすがる思いで、思い切ってそこの耳鼻科を受診しました。

　その先生は、前の耳鼻科とは少し違う処置をしました。もう一度ＣＴを撮ったのですが、「心配ないよ、2，3週間すれば落ち着くわ。痛いよね。しばらく我慢してね。」そう言って消毒薬のようなにおいのする薬を鼻にしばらく突っ込んだのです。その後、薄緑の鼻汁がいっぱい出たあと、不思議と目の周りの痛みは消えていました。少しふらふらしましたが、漢方薬と抗生剤、アレルギーの薬を処方されて服用しました。痛みはずっと楽になりました。

　耳なりは蓄膿が治ればすぐすっきりするとのこと。「心配ない。軽症です」この一言が私を元気づけてくれました。この前まですっきりしなかった目が、少し軽くなってきました。一週間前までは、目が疲れてパソコンも見れませんでしたが、今はこうして、文章を打ち込んでいます。毎朝、薄緑と黄いろの混じった膿が鼻をかむと出ますし、起床時はクリーム色の痰が出続けます。けれど、首や頭の痛みが少し和らいてきています。

　先日、例の眼科を受診しました。検査をしましたが、心配ないとのこと。「ただ完治するまでは、時々目の様子を見せてください」と言われました。そして眼科の先生は、大事なことを教えてくれました。「耳鼻科の治療は時に、ステロイドを使います。ステロイドは緑内障の原因にもなります。できたら耳鼻科の先生にステロイドは使わないようにお願いしたほうがいいですよ」
　そういえば、最初の治療はわずかとはいえ、ステロイドを使っていました。（領収書に書いてあった）今の先生に思い切ってステロイドのことを尋ねたら、「心配いりません。今は治療にステロイドは使いません」と答えてくれました。

　昨年からずっと苦しんでいた、目の痛み、頭痛、首痛、そして蓄膿症。暗いトンネルの中をさまよっていた私ですが、ようやく光が見えてきた感じです。昔から蓄膿症は恐ろしい病気だと言われてきましたが、今回私は身をもってそれを、体験しました。

　目の痛み、頭の痛み、不定愁訴は案外蓄膿症に原因があるのかもしれません。長患いがつきものの病ですが、必ず治ります。もしも蓄膿症が長引いて悩んでおられる方がいらしたら、私の様な例もあるのです。決して悲観されないでください。（ステロイドにもくれぐれも気を付けられてくださいね）それから、もう一つ、耳鼻科のお医者さんというのは、職人気質の人が多く、コミュニケーションがとりにくいことが多いと感じます。相性もありますので、話をよく聞いてくれる先生を探したほうがいいですよ。