急性網膜壊死（桐澤型ぶどう膜炎）にかかり、片眼を失明しました。

30歳のときに、左目の視野が少し白濁していることに気づき、地元の眼科にかかりました。

医師はすぐに「眼底黄斑部に強い炎症が確認でき、急性網膜壊死（えし）の可能性が高い。できるだけ早く思いつく限り大きな病院に行くように」との指示をもらい、紹介状をいただきました。
市内最大の医療センターに眼科があるので行くことにしましたが、外来診察が午前中のみであったため、翌日受診することにしました。

翌日は視野がさらに白濁してきていました。
医療センターの医師の説明では、急性網膜壊死の可能性が高いことに同意する。が、残念ながら急性網膜壊死（えし）は難病であり、とてもここで診られる病気ではないこと、もし受診するなら（首都圏であれば）専門医がいる東京女子医大か東京医科大のどちらかを薦めるとのアドバイスがありました。ここで東京医大に行くことし、同病院眼科主任教授宛の紹介状をいただきました。

さらに翌日水曜日の午前に西新宿にある東京医科大学病院を訪問。
視野の白濁はいっそう酷くなっていました。
幸いなことに水曜午後がぶどう膜専門外来の日であるということで専門医に診ていただくことができました。
診察の際に、視力測定、眼圧測定、散瞳の後眼底写真撮影、眼内液採取を行い、医師からは「まず急性網膜壊死で間違いない。この病気は劇的に進行するため翌日からの入院、炎症の沈静化を待って手術の必要がある。この病気はウイルスによるもの。一般的に予後のよい病気ではない。ただし、今は抗ウイルス剤があるので、原因ウイルスによっては今すぐ治療に入れば両眼性に移行する可能性は激減する」という説明を受けました。
その日抗ウイルス剤をいただき、一旦入院のために帰宅しました。

翌日から、入院し、抗ウイルス剤とリンデロンの点滴を開始。
しかし、炎症の進行を食い止めることがなかなかできず、さらに視界は悪くなる一方でした。

入院20日目、手術(眼底レーザーとシリコンオイルタンポナーデ・水晶体の撤去）を実施。所要時間は約4時間。局所麻酔でしたので、眼内に器具が入る様子も自分から見ることができました。
入院22日目、PCRによる眼内液のウイルス同定によって、病気の原因がVZVウイルスによるものと診断が出ました。VZVウイルスは抗ウイルス剤が効きにくく、治療は難しかっただろう、という説明も受けました。
入院後40日で点滴が終了。
43日で退院しました。

六ヶ月後に、撤去した水晶体の代わりになる眼内レンズを挿入する再手術のために入院。手術自体は20分程度で終わり、入院期間は5日間ほどでした。

治療開始後六ヶ月後には視力0.008程度(炎症跡が黄斑部ほぼ全域に広がっていたため、視力の出る視野は右上方わずかな箇所だけ）。その後ほどかけて、網膜上にゴミのような層が貯まり（眼内CT写真で網膜が非常に薄くなった上に、積もった層が確認できました）さらに視力が低下。

治療から5年で、左目が明かりを感知することができなくなりました。
しかし、右目には炎症は起きず、現在も健在で、車の運転を始め日常生活を送ることができています。