目に見える「うつ病」診断。光トポグラフィー検査に臨む。
橘 美幸 (60歳代・女性)
病気 | 単極型うつ病 |
---|---|
病院 | 学校法人近畿大学 近畿大学病院 |
関連 | 気が滅入る・不安 |
参考 | http://www.med.kindai.ac.jp/huzoku/files/nirs_ir3_topography.pdf |
「うつ病は、そんなに喋らない」
それは、全面的に信頼していた主治医との間に亀裂が入った瞬間でした。
治療期間が1年以上を経過し、処方していただく薬も頭打ちになるほど
私の症状は、進行を食い止めることができず、不眠・拒食・体調不良
歩行も杖か歩行補助がなければ転び、睡眠は、3、4日全く眠れず、
食事も栄養ゼリーを吸う程度、これもなくても空腹感もない。
体重は、既に45㌔台、体のあちこちに、褥瘡ができて横になるのも
辛くなってきていました。
1か月に一度の通院もままならなくなり始め、
この時の体調は、今までで最悪な状態でした。歩くことはもちろん
体を支える事も難しく座る事も大変で車椅子での移動も力が入らず
ずり落ちる状況でした。
市の福祉の方には、ご迷惑をおかけし、
やっとクリニックへ連れて行っていただきました。
残った気力を振り絞って、辛い状態を必死に伝えようとした事が、
先の発言につながりました。
「私は、うつ病じゃないのに、うつ病の薬を飲んで、辛い副作用にも耐え、
この1年、何を治療してきたのか」
寝ていないので、頭の中が混乱している上に、更に混乱が生じ、涙が止まらなくなり、
主治医に対して、暴言に近い発言をしてしまいました。
「何で怒るの? うつ病じゃないと言ったら、どうして怒るの?
あなたは、何て言って欲しいの?」
何を根底にこの発言になるのか
もう、誰も信頼できないと思い、完全にキレてしまいました。
ここから書くことは、実際に発言していません。
信頼していた主治医に対して、混乱したままの状態で罵倒しそうになるのを
人間としての最後の理性の欠片を脳の中から押し出して
口をつぐむ事を最優先にしました。
患者は、何の為に、病院へ行きますか?
体の不調を治してもらいに病院へ行くのでしょう?
私だけですか?
不調に対して、「疾病名」を望むのは
「疾病名」が付いて、そこから自覚が生まれ、治療に対する気持ちを整理し、
主治医に対して完治を目指し、指導を仰ぐ姿勢と行動を委ねるものではないですか。
「疾病名」がなければ、一体、何を根拠に治療方針を決定するのですか。
薬も処方できないでしょう。
「うつ病」でなければ、それでは一体、私は何のせいでこんなにも不調なのでしょうか。
別の要因があれば、それに対して、説明を求める事は当然ではないでしょうか。
どうして、こんなにも眠れないのでしょうか。
眠たくならない。眠たいのに眠れないのではなく眠れないのです。
眠気が来ない。睡眠薬を飲んでも眠気が来ない。
24時間続く轟音の耳鳴り。そのうるささにダウンしています。
お腹がすかない。食べたいという気が起こらない。
常時、吐き気がする。ムカムカ感がわずらわしくて、食べたいという気持ちが消失する。
食べても味がしない。食感も悪い。
どうすればこの状態から抜け出せるのか
抜け出す方法を教えてもらいたい。
「うつ病」でないのなら、もう、薬を飲む必要もない。
今の、この状態は、何なのか。
心の中で、私は、主治医との決別を意識し、支えを失い、薬の離脱症状に苦しみ
生きる屍のようになってしまいました。
自業自得、私が、悪いのです。
地獄のような苦しみを与えて、主人を死なせてしまった罰です。
主人の苦しみは、こんな生易しい苦しみではありませんでした。
罰を与えられて当然です。
この苦しみから逃れようとする私は、卑怯な人間です。
主人が亡くなってから、すっかり、生活が変わり、体調もすぐれず
私の容姿と生活パターンが変化する事で、周囲は、見る目も対応も変化していきます。
昨年の秋に、クリニックへの通院を止め、主人のいない2回目の年越しは、
殆ど意識しないまま時間だけが流れて、主人の遺骨の前で泣き暮らす毎日が続いていました。
「あなたは、悲しみに浸って、自分をイジメて痩せ衰えた演技して、
こんなにも、夫を亡くして辛く悲しいんだと他人に見せつけて満足しているんですよ。
うつ病なんて、本当は、病気でもなんでもない。ただの気の持ちよう。
甘えているだけ。
いつまでも、ズルズルと引きずってもしょうがない。
世間では、怠け者の代名詞。ウザくてうっとおしい。
うつ病? 都合のいい病名だね。なにそれ
本当に愛していたなら、即、後追いしているよ。
私からすれば、あなたは、何だかんだ言っても、全部、嘘のかたまり。
悲しい気分に浸って、心地がいいだけにしか見えない。
眠れない、食べられない?
じゃあ、聞くけど、そんなに辛いなら何で死なないの?
何で生きてるの?」※原文コピー
頼りにしていた知人から、ボロボロになった心を更にえぐられるようなメールが届きました。
抵抗する気力も、反論する気力もなく、
人は、そんな風に、私を見下げているんだと思うと、
今の自分は、何の役にも立たないゴミ以下の存在でしかないのだと
消えたくなっていきました。
好んでこんな状態になったわけではないのに、
自分では、どうする事もできないのに、
只々、周囲から、信頼していた主治医からも
見放されていく情けない自分を持て余し、
食べなくても寝なくても、なかなか事切れない丈夫な自分を
どう扱えばいいのかわからなくなっていきました。
「今の状態をはっきり知りたい」
憶測ではなく、いったい、自分は、自分の体調不良の原因を知りたい
「光トポグラフィー検査」
精神疾患を脳の血流パターンによって、3種類の判別をするデジタル診断です。
現段階では、補助的診断方法と説明がありますが、アメリカでは、既に主流に
なっている診断方法です。
私も、問診は、自己申告で、他人には100%信頼してもらえないところもある
精神疾患ですが、光トポグラフィー検査は、ウソ発見器のように、
自分ではコントロール不可能な血流診断なので、信頼度が高いと思いました。
「機械は、ウソつかない」です。
※個人的な感想です。
今年の2月初旬、薬の離脱症状が幾分ピークを過ぎた頃、
大学時代の友人から、問診ではなく機械を使った精神疾患の診断をしてくれる
「光トポグラフィー検査」というものを教えてもらい、
予約を入れて検査に臨みました。
どのような検査なのか詳細を全く調べず予備知識を得ないまま臨みました。
それは、予備知識を得ると身構えてしまい正しい検査結果が出ないのではないかと
思ったからです。
ですから、ネット上には、細かい検査の内容を載せてありますが、
敢えて、書きません。
ゼロの状態で、検査をする方がいいと思います。
予約を入れると、病院から、数枚の詳細な問診表が郵送されてきます。
予め、自宅にて問診表に答えて記載しておきます。
それを検査の当日、光トポグラフィー検査の始まる前に、
メンタルヘルス科の受付窓口に提出します。
検査の前に、提出した問診表とは別に、医師と面談し問診があります。
私の場合、かなり時間のかかる問診がありました。
状態が酷かったのと、採血の任意を受諾したのでかかりました。
強制ではなく、全て任意です。
問診の後、簡単な絵を使った心理テストがあり、その後、いよいよ
光トポグラフィー検査になります。
私の場合、検査を3回やり直しました。
血流の反応が鈍くて、データが取れませんでした。
担当の医師、2名が検査をしてくださったのですが、
機器の不具合?かと何度も繰り返して検査をする場面がありました。
結局、不具合でも何でもなく、私の状態が想定外の状態のため
データが取れないという事でした。
装着もやり直して、3回、同じ検査をしました。
その後、採血でした。
10ml程度の極小量の採血でした。
今後の精神疾患の判断にお役に立てれば幸いです。
通常は、全体で約1時間程度という検査の流れでしたが
午前11時から終わったのが午後3時前でした。
体調が悪くなってから、こんなに長い時間、外出する事がなくて
帰りの車の中の記憶がありません。
寝たというより、失神か気絶近い状態で疲労困憊でした。
検査当日は、行きよりも、帰りの足の確保をされた方がいいと思います。
検査結果は、2週間程度で郵送とありましたが、1か月半近くかかりました。
とても長く感じました。
検査結果には、疾病名の記載はなく、検査中の脳血流量の詳細なデータが表記され、
私の前頭部波形パターンの表記と健常者・単極性うつ病・双極性障害・統合失調症の4つの
パターンと見比べて判断できるようになっています。
前頭部の積分値・重心値・初期賦活・側頭部積分値の結果が言葉にて記載、
自記式の問診の解析からの心の状態説明などが記載されていました。
結果、「単極性うつ病」
ここに、症病名が確定しました。
あくまでも参考にと書き添えてありましたが、私は、満足です。
悲しみに浸って、演技しているとまで言われる辛さ
第三者に、この辛さを目に見える形にしてもらえただけでも有難い事です。
自己申告の問診は、信頼度が低い。
自力で血流を操作する事は、まず無理だと思うので、
あくまでも補助的とは言え、精神疾患の判断材料としての貢献度は
高いと思います。
「光トポグラフィー検査」
もっともっと精度と信頼度を高めて、精神疾患の患者のさまざまな判断と
認可に貢献してもらいたいです。
やがて、先進国のように、認知度と問診に代って
病名の判断に取り入れられる日も近いと思います。
その後、この「目に見える検査診断結果」を持って
主治医との行き違いを払拭すべく受診しました。
全ては、私の不安定な精神状態から
主治医の発言を誤解し、一人で悪い方へ悪い方へと
受け止めてしまった事が、わかりました。
丁寧に、初診から現在までの私の状況を説明してくださり、
「全力で応援させてもらうから、もう一度、やっていこうよ」と
優しく言葉をかけてくださいました。
知人からの心無いメールで、心が完全に折れていたショックもあり、
人を信じられなくなっていたせいもありました。
うつ病は、なった本人しか、その底なしの辛さは誰にも
わかってはもらえません。
「わかってもらえない人には、無理にわかってもらおうとしなくていい」
主治医は、そう言われました。
そういう人とは、距離を空けて、ゆっくりと自分を取り戻していこう。
診察室で、号泣しました。
病名がわかっても、簡単には治らない「うつ病」
寄り添って、一緒に治療をしてくださる主治医がいるから、
私は、心の底からよかったなぁと思えます。
コメント(1件)
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みみちゃちゃ「うつ」って文字を、勿論ご存じでしょう。難しい漢字に見ただけで、
うつっっ~って、気がします。在る有名女史作家も罹られたそうですが、
ご自分自身で治された?ようですよ。「S・A」さんのご本を1度、
読んで見られたら如何でしょう。投稿:2015/10/06 21:16
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