Caloo(カルー) - 解離性大動脈の破裂とその予後 : 病気体験レポート
病院をさがす

解離性大動脈の破裂とその予後

うさみみくまこ  (50歳代・女性)

925views 2017年05月26日投稿 8votes 0comments

2010年3月、ずっと経過観察していた胸部の解離性大動脈瘤の状況が悪化した父はドクターヘリで大学病院へ搬送されました。当時、76才と高齢だった父は手術には体力がもたないだろうという判断で、ひたすら血圧を下げ、破裂を避ける処置を施されたまま、山場といわれた3日目にさしかかったところで、深夜、動脈瘤が破裂したので緊急手術という連絡が入ったのでした。

手術しなければ当然、死に直結します。
手術の説明はいちいち、○○だった場合にも文句は言いません、といった同意書への署名が要求されました。命をかたに取られていれば諾と言うしかありません。永遠にも思えた10時間を越える手術がはじまったのでした。

幸い父は体力があり、何とか命は取り留めました。
それでもそこからしばらくは意識も戻らず、本当に助かったのかもわからないような状況が続きました。意識は取り戻したものの、手術の折に声帯に傷がついたため声が出なくなっており、また著しく体力も衰えて、また、どこか脳にもトラブルがあったのか筆談もままならない状況が一月ほど続いたのでした。今思えばこれが、せん妄というものだったようで、そのままボケてしまうということもなかったのはラッキーでした。

また、喉の傷のため食事がとれず胃ろうをつけることに同意せざるをえませんでした、それでも管だらけの体から一つ、二つと管が外れ、やがて治療自体は終わりましたが、満身創痍の父はリハビリの病院に転院することとなりました。

緊急入院から手術、リハビリ病院へ転院を経て5ヶ月弱で父は退院を果たします。病院ではもう少し入院をと言われたものの、私が介護できる時期が丁度夏頃に限られたため、少し強引に退院をお願いしたのですが、それは英断だったようです。結果としては、大きな手術の割には早く戻って来たためか、呆けることもなく、めざましい回復を父はみせてくれました。

退院して初めての昼食はずっと食べたかったお寿司。
少しむせながらではありましたが、無事口から普通のご飯を食べることもできました。

出なくなった声も所謂声帯を使ってではないのですが、普通に会話もできるようになりました。

高齢者だからといって必ずしも体力がないわけではありません。
そして、胃ろうをつけたからといって必ずしも一生そのままというわけでもありません。

その後、父は自転車で出かけられるまでに回復しました。
そして、完全な健康体とはいえませんが、元気に今年、85歳をむかえました。

このまま寝たきりで老人病院で死を待つのみなのか、と一時は絶望しかけましたが、1日1日と回復し、これがてきるようになった、あれができるようになった、という姿を見ると、人は案外強いし、一生発達し続けることもできるのだと感じました。同じ病で療養中の方々にも希望を持って治療してもらいたいなと思っています。





コメント0件コメントを書く

この病気体験レポートは参考になりましたか? 参考になった

解離性大動脈瘤(大動脈解離)に関連する病気体験レポート

【解離性大動脈瘤(大動脈解離)に関する体験レポート(5件)を読む】

解離性大動脈瘤(大動脈解離)に関連する病院口コミ

  • かかりつけ医での検診で解離性の胸部大動脈瘤が大動脈基部に見つかり、自分で調べた上でこちらの病院で精密
    5.0 ゼロイチ 社会医療法人財団石心会川崎幸病院(神奈川県 川崎市幸区)
  • 「上行大動脈拡大」を患っていた母80歳が、自宅で急性大動脈解離Aとなり駆けつけさせていただき、夜間の
    5.0 ハイビスカス545 かわぐち心臓呼吸器病院(埼玉県 川口市)
  • 昨年、急性大動脈解離A型で緊急手術をしてもらい生還しました。死ぬ寸前だったけど助けてもらいました。本
    5.0 でぶごん 医療法人社団栄悠会綾瀬循環器病院(東京都 足立区)
  • 60代半ばの父親が大動脈解離で緊急入院。検査の結果心臓の付け根から下肢大動脈までいつ破裂してもおかし
    5.0 もーやん 日本赤十字社愛知医療センター名古屋第一病院(愛知県 名古屋市中村区)
  • [症状・来院理由] 1年前です。背中の激痛と発熱で救急車で他病院に運ばれましたが、2日間殆ど何の治
    5.0 tearchan 独立行政法人 国立病院機構 災害医療センター(東京都 立川市)

【解離性大動脈瘤(大動脈解離)に関する口コミ(14件)を読む】

口コミを投稿
アポクル問診

医療機関の関係者の方へ

すべての電子カルテに連携できる
WEB問診システムが
月額1万円からご利用いただけます。

詳しくはこちら
ページトップ