風疹特集
高水準の風疹発生数が継続。夏に向けてさらなる拡大が心配される。 4月9日発表の国立感染症研究所による風疹発生動向調査より
最終更新日: 2013年04月10日
記者: 具志林太郎
国立感染症研究所は4月9日に最新の風疹の発生動向調査を発表した。2013年第13週における新たな風疹報告者数は375名となり先週と同数であった。去年の同時期は13名だったため前年同期比約29倍と高水準の状態が続いている。
通常風疹は春から初夏にかけて最も発生するためさらなる流行が心配されている。去年の風疹のピークは7月〜8月であった。
![[図1] 去年の風疹のピークは、7月〜8月だが、今年は、4月の段階ですでに去年のピークの4倍の400名/月の風疹患者が発生している(通常風疹は春から初夏にかけて最も発生する)](/img/articles/17/figure01.png)
都道府県別にみると、東京都の111名が最も多く、次に神奈川県の60名、兵庫県の42名、大阪府の39名と続いている。人口100万に当たりの報告者数で見ると、東京の8.4名を筆頭に、兵庫県7.5名、鹿児島県7.1名、神奈川県6.6名となっている。
風疹の報告が最も多い東京都内では、自治体による大人の風疹予防接種への助成が進んでおり、23区ではすべての区で助成が行われている( 東京都内の助成対象の自治体一覧 )。
![[図2] 都道府県別風疹報告数(2013年第13週のみ)](/img/articles/17/figure02.png)
![[図3] 都道府県別人口当たり風疹報告数(2013年第13週のみ)](/img/articles/17/figure03.png)
![[図4] 都道府県別人口当たり風疹累計報告数(2013年1週〜13週)](/img/articles/17/figure04.png)
2013年累計の風疹報告者を予防接種歴別でみると予防接種を2回した人は、男女とも1.0%、2.2%と最も低く、1回接種は3.3%、8.2%、接種なしは27.9%、34.4%と高く、2回の予防接種の必要性が裏付けられている。
報告者数 | 報告者数の割合 | |||
---|---|---|---|---|
風疹予防接種歴 | 男性 | 女性 | 男性 | 女性 |
接種なし | 636 | 215 | 27.9% | 34.4% |
接種1回 | 76 | 51 | 3.3% | 8.2% |
接種2回 | 22 | 14 | 1.0% | 2.2% |
接種したか不明 | 1,544 | 345 | 67.8% | 55.2% |
合計 | 2,278 | 625 | 100.0% | 100.0% |
男女別年齢別でみると、風疹の予防接種が定期接種になる以前の世代である26歳以上の男性に多く発生している。風疹の定期接種が2回となった13歳以下ではほとんど発生していない。
![[図6] 男性の年齢別風疹報告者の割合](/img/articles/17/figure06.png)
女性の風疹報告者は全体の22%と男性と比べると少ないが、妊娠適齢期である18歳〜30歳に集中しており、先天性風疹症候群のリスクから考えるとこちらの方がより深刻である。
![[図7] 女性の年齢別風疹報告者の割合](/img/articles/17/figure07.png)