Caloo(カルー) - 診療案内(うつ病・女性のうつ病・躁うつ病 他): あらたまこころのクリニック - 名古屋市瑞穂区
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医療法人和心会 あらたまこころのクリニック
2.65 ( レビュー数 86件… 口コミ10 アンケート76件 )
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  • 女医
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アクセス数  3月:1,514  |  2月:1,450  |  年間:16,570

診療案内

うつ病

うつ病と診断された患者様においてもストレスの感じ方は一人ひとり異なるため、当院では、患者様の抱える悩みを整理して「何が原因となって悪循環を招いているのか」を一緒に考えます。

また、薬に頼らない治療を目標として、抗うつ薬の投薬量を必要最小限に抑えつつ効果が最大限発揮されるよう、薬の選定や投薬のタイミングを調整することはもちろん、カウンセリングや、同じ問題で悩む仲間とのグループ療法・復職デイケアによってストレス対処法を習得していきます。

◆薬物療法
当院は、将来の健康的な暮らしを見据え、抗うつ薬の投薬量や、他の抗うつ薬への変薬、増強療法などを段階的に行うなど、医学的根拠に基づいた薬物療法によって早期の症状改善を目指しながらも、維持療法を継続することによる再発防止を心がけています。
なお、当院の院長である加藤正は、抗うつ薬の適正使用をテーマとした論文を発表し、2019年に日本うつ病学会から「下田光造賞」を受賞しています。

◆精神療法
うつ病を患っている方は、まるで心にサングラスをかけて歩いているかのようにすべての物事が暗く見えており、「自分はダメな人間だ」「こんな人間と付き合いたいと思う人はいない」「この先もつらい状況はずっと続くだろう」などと悲観的に考えてしまいます。
闇雲に入り口を探すのではなく、少し立ち止まって当院のスタッフと一緒に問題を整理し、問題解決の出口を探しながらストレス対処法を習得することが大切です。

◆精神療法
・認知行動療法
認知行動療法では「3つのC(認知・コミュニケーション・コントロール)」を実践します。
つまり、認知再構成法などを行う「認知的技法」と、問題解決療法、コミュニケーションスキルの改善などを行う「行動的技法」を用いて、柔軟な考え方や問題解決力などを習得します。物事の受け取り方や見方を変えていくことにより、「薬や他人に頼らなくても自分の力でできる」という自己効力感(コントロール感)を養います。

・対人関係療法
当院では、カウンセリングや、うつ病で悩む仲間とともに問題解決へ向かうグループ療法、認知再構成法、マインドフルネス、復職デイケア(リワークデイケア)などを組み合わせて適切な治療を行います。

・復職デイケア(リワークデイケア)
復職・就職はもちろん、うつ病を再発することなく安定して就労や日常生活を続けるため、強いストレスを感じても自力で乗り越えるための力を養うことを目標としています。

当院では、「心の地図」「復職への設計図」作成による心の整理を行うだけでなく、生活リズムの改善や、デイケアメンバーとの交流による対人関係能力の向上を目指します。

女性のうつ病

近年の晩婚化に伴う女性ホルモンの影響や月経前症候群(PMS)、月経前不快気分障害(PMDD)、出産、更年期障害など、体の構造上、女性は不安やイライラ、落ち込みが起こりやすい傾向にあります。
また、女性の社会進出に伴い、人間関係やコミュニケーションによるストレスを感じる機会も増え、女性が社会的に担う役割の複雑さと重さも大きな原因となっています。
なお、女性の晩婚化などによって生涯の生理は300回以上増えていると言われており、うつ病だけでなく、様々な婦人科疾患も増加しています。

女性のうつ病は、男性に比べてパニック障害などの不安障害を併発することが多く、軽くテンションが上がったり落ち込んだりを繰り返す躁うつ(双極性障害2型)の症状が出ることが特徴です。

女性のうつ病と診断された患者様においても、ストレスの感じ方は一人ひとり異なるため、当院では、患者様の抱える悩みを整理し、対人関係(特に家族や身近な人などの近親者)の悩みや葛藤などに焦点を当てて一緒に考えていきます。
また、女性のうつ病は、パニック障害などの不安障害や双極性障害を併発している場合も多いため、それぞれの治療と組み合わせて行なっていくことが大切です。

薬に頼らない治療を目標として、抗うつ薬の投薬量を必要最小限に抑えつつ効果が最大限発揮されるよう、薬の選定や投薬のタイミングを調整することはもちろん、カウンセリングや、同じ問題で悩む仲間とのグループ療法・アサーションによってストレス対処法を習得していきます。なお、当院では、女性医師やカウンセラー、スタッフが在籍しています。

◆薬物療法
女性のうつ病は、通常のうつ病に加えて不安障害や双極性障害、不眠症、女性ホルモンの影響など多種多様な症状が現れるため、治療法もひとくくりにできません。そのため、患者様によって必要な薬の種類や投薬量が大きく異なるため、適切な判断を行って薬物療法を行います。また、女性ホルモン(生理)の周期に合わせた薬の調整が必要となります。

当院は、将来の健康的な暮らしを見据え、抗うつ薬の投薬量や、他の抗うつ薬への変薬、増強療法などを段階的に行うなど、医学的根拠に基づいた薬物療法によって早期の症状改善を目指しながらも、維持療法を継続することによる再発防止を心がけています。

◆精神療法
女性のうつ病の場合は、対人関係(特に家族や身近な人などの近親者)の悩みや葛藤への対処が解決への糸口になることが多く、対人関係療法的なアプローチやコミョニケーションスキル向上も視野に入れて治療を行います。

◆精神療法
・認知行動療法
・対人関係療法
・復職デイケア(リワークデイケア)

躁うつ病

躁うつ病の大変さは再発率の高さにあり、治療によって症状が落ち着いてきたら、しっかりと再発予防を行うことが大切です。
再発を防ぐ大切な3本柱は、
①服薬を中断しない、
②対人関係のストレスを溜めない、
③不眠など生活リズムの乱れに対処することです。
当院では、この3本柱を中心に薬物療法を行います。

◆薬物療法
躁状態の急性期は、薬を処方することで安定してきます。炭酸リチウムは躁状態の治療にとても有効ですが、副作用などに注意しながら薬を有効濃度に維持する必要があるため、必ず「トラフ法」という方法で血中濃度を測定することが必要です。

躁うつ病の治療は、処方薬が多剤多量になりやすいため、上記の3本柱に則って薬の処方量を調整します。躁状態には有効な薬が多くありますが、うつ状態の症状は患者様によって異なるため、目先の症状に振り回されて多剤大量の薬を処方することがないように、しっかりと治療方針を立てることが大切です。

◆精神療法
躁うつ病の治療においては、まずは、双極性障害という病気を受け入れることが大切です。「躁うつ病の大変さは再発しやすいところにある」ということを患者様が理解し、再発防止に向けた治療に取り組みます。

躁うつ病は、ストレスや不眠といった生活リズムの乱れなど、日常的なできごとがきっかけになって発症します。
日本うつ病学会も推奨する「対人関係社会リズム療法(IPSRT)」などが効果があるとされているように、社会リズムを規則的に整えて対人関係ストレスを減らし、患者様が社会的役割の変化にスムーズに適応することが大切です。

新型うつ病(現代型うつ病・非定型うつ病)

新型うつ病の一つのタイプである「気分変調性障害」は、若い頃から周りの方も本人も気づかないうちに発症し、うつ病の期間がとても長いために様々な病気が上乗せされ、同時に2種類のうつ病に罹ることから「二重うつ病(ウツの中にウツがある)」と呼ばれています。
もう一つのタイプである「非定型うつ病」は、対人関係に過敏に反応したり、突然テンションが高くなることで、わがままや甘えなどといった性格の問題と誤解されやすいために、病気(=治療法がある)と気づきにくいことが特徴です。

新型うつ病は、受診した医療機関によってその診断名や処方薬が様々で、目先の症状の対処に振り回されて多くの薬を服用することとなり、病気による症状なのか薬の副作用なのかが分からなくなってしまうようなことさえ起きています。
新型うつ病は、丁寧な病歴の聞き取りと適切な診断と治療の手順が必要です

新型うつ病は、抑うつ神経症やわがまま、甘えなどといった性格の問題と勘違いされ、必要な治療を受けていない可能性があります。
そのため、新型うつ病の治療は、まずは「自分の病気を知る」ことがとても大切です。

まずは、幼少時の頃からの頃の生い立ちや家族関係を整理した上で、双極性障害やパニック障害、あがり症(社交不安障害)などの症状がある場合は薬物療法で安定させることを優先し、うつ病の治療を進めていきます。
対人関係などの問題を理解した上で、自分の対人関係のパターンがどのような悪循環に陥っているのかを知り、認知行動療法やグループ療法、デイケアに取り組むことで役立つスキルを身につけていきます。

◆薬物療法
新型うつ病にも効果が期待できるSSRIを処方して治療を進めます。
新型うつ病の中に双極性障害2型などが隠れている場合は、抗うつ剤よりも感情調整薬などが有効な場合もあります。

新型うつ病の薬物療法では、表面のうつ症状とその奥に隠れている病気に合わせた薬を、タイミング良く、適切に処方していくことが最も重要です。

◆精神療法
薬物療法により気分変動が安定してきた後は、認知再構成のグループ療法やアサーション、マインドフルネス、デイケアなどの精神療法に移ります。

新型うつ病の患者様にとっては、グループ療法で同じ悩みを抱える仲間と過ごし、自分の感情や楽になる考え方を新しく発見することが効果的です。
これまでのネガティブな自己評価による悩みが、自分自身の弱さや甘えではなく、実は新型うつ病という治療可能な病気だということを理解して治療を進めます。

自律神経失調症

◆薬物療法
自律神経のバランスが乱れている場合は抗不安薬を処方します。また、不眠が強い場合は睡眠導入剤などを処方し、パニック障害の慢性身体症状や不安やうつ病の症状が強い場合はSSRIを処方しますが、薬物依存にならないよう慎重に処方します。

◆精神療法
自律神経失調症の精神療法では、まずは生活リズムを整えて体に働きかけることから始まります。
十分な睡眠やバランスの良い食事、適度な運動を取り入れることで、症状が改善することがあります。

自律神経失調症として体に出ている症状は心のSOSのサインであるため、このサインを目印にしながら、心の状態や考え方に誤解がないか、問題解決にはどんなことが役に立つかを考えていきます。例えば、会社に行く前に吐き気や頭痛がある患者様であれば、「上司に叱責されるのがつらい」というきっかけを見つけ、同僚に相談したり、対人関係ストレスを和らげる対処スキルを身につけることで改善を図ります。

◆精神療法
・認知行動療法
当院では、認知行動療法を取り入れることで患者様の心と体の状態を整理し、自律神経失調症の原因となる考え方や振る舞いを変えていくことを目指します。

ストレスを溜めない方法や、コーピング(ストレスが溜まった時の対処法)を身につけることが大切です。

・アサーション
人間関係やコミュニケーションがストレスに大きく影響している場合は、アサーションが有効な場合もあります。
「思っていることを上手く伝えられない」「嫌だけど断れない」といった人間関係のストレスが重なることで、自律神経のバランスが崩れていることがあります。
このような場合には、アサーション(自分と相手を大切にするためのコミュニケーション)のトレーニングによって、自己肯定感が高まり、ストレスを減らすことを目指します。

・マインドフルネス
ストレスを感じると、頭の中で過去の嫌な記憶を思い出してしまいますが、過去の失敗に悩んだり未来を心配してしまうことで、自律神経失調症の症状はますます悪化していきます。

当院では、呼吸法や様々なエクササイズ、ボディスキャンなどを通して、過去や未来のことを考えて悩むのではなく、「今」の感覚に意識を戻していく治療を行います。
今現在、自分が感じている感覚と丁寧に向き合っていくことにより、ストレスを避けるのではなく、ストレスと上手く付き合っていくことができるようになります。

睡眠障害・不眠症

睡眠障害の治療法は、患者様の考え方や生活環境などによって大きく異なるため、当院では、患者様の抱える悩みや苦しみなどをお聞きした上で、最適な治療法を実践していきます。

また、薬に頼らない治療を目標として、睡眠薬の投薬量を必要最小限に抑えつつ効果が最大限発揮されるよう、薬の選定や投薬のタイミングを調整することはもちろん、カウンセリングや、同じ問題で悩む仲間とのグループ療法・復職デイケアによってストレス対処法を習得していきます。

◆薬物療法
当院は、睡眠薬を処方する場合でも、投薬量の調節や他の睡眠薬への変薬などを段階的に行うなど、医学的根拠に基づいた薬物療法によって早期の症状改善を目指しながらも、精神療法を含めた総合的なアプローチを行います。
なお、当院の院長である加藤正は、睡眠薬などの処方薬の依存を防止する啓蒙活動を行い、名古屋市医師会において、患者様が薬を手放すための医師向け講演や論文執筆を行なっています。

◆精神療法
不眠症の方は、不眠に対する心理的な不安が大きく、たとえ睡眠薬自体に依存性がなくても(漢方薬でも)、「睡眠薬を手放す不安」によって不眠症が悪化することもあるため、精神的な治療と上手く組み合わせる必要があります。

認知行動療法的なアプローチやグループ治療、マインドフルネス、復職デイケア(リワークデイケア)などを組み合わせて適切な治療を行います。

・不眠に特化した認知行動療法
不眠症は、毎日の生活の中で不眠を誘発する「誘発因子」と、不眠状態が続く「維持因子」の二つの因子に、元々の体質が加わって発生します。例えば、ペットが亡くなったことによる不眠症であれば、ペットの死が誘発因子です。不眠症を発症した結果、寝る前にスマホを見たり寝酒をしているのであれば、これらが維持因子となります。このような悪循環を断ち切り、本来の睡眠サイクルを取り戻します。

・復職デイケア(リワークデイケア)
復職デイケアでは、患者様の生活リズムを整えるとともに、対人関係でストレスを感じやすい方が人と関わる際のコツを身につけることで、不眠治療を進めることを目標としています。

当院では、「心の地図」「復職への設計図」作成による心の整理を行うだけでなく、生活リズムの改善や、デイケアメンバーとの交流による対人関係能力の向上を目指します。
また、認知行動療法やアサーション、オフィスワーク、ジョブミーティングなど、患者様にとって最善のプログラムを実施していきます。

適応障害

適応障害は、比較的誰もが陥りやすい病気ではありますが、患者様の5年後の状況を見ると、多くの方が治癒しています。
ただし、適応障害が重症化したり、ストレスを乗り越えられないために他の病気を発症している人も少なくありません。

治療の基本は、患者様がストレスを感じる環境を調整しながら、ストレスを減らした環境に適応できるようにしていきます。
目の前のストレスを回避せず、少しずつストレスを受け入れてギャップを埋めていくことが重要です。
心の整理を行うことで、目の前のストレスに対してどのような認知や行動のパターン(解決策)があるのかに気づき、回避せずに問題を解決する方法を考えます。

◆環境調整
当院では、患者様だけでなく勤務先企業の健康保健担当者も交えて、今後の働き方について三者面談を行っています。面談をとおして勤務先に病気の説明をすることで、職場全体に患者様の症状の理解を促し、職場復帰を進めていきます。

◆問題解決療法
問題解決療法では、日常生活の中で困っているトラブルと向き合い、解決に向けて取り組むことで、患者様の心が少しずつ軽くなり、現実に対処する力を身につけることを目指します。

具体的には、①目の前の問題について整理し、②その問題解決に向けた目標を定め、③解決方法のアイデアをたくさん考え出し、④アイデアを取り入れた場合のメリット・デメリットを検討した上で、⑤計画を立て実際に実行するという一連の流れを身につけます。なお、いきなり解決を目指すのではなく、出来ることから一つずつ、無理なく少しずつ階段を上っていくように取り組んでいきます。

◆認知行動療法
認知行動療法では、患者様が自分の考え方のクセや特徴を知り、物事の捉え方を広げることで、ストレスに負けない柔軟な考え方(ストレス耐性)を身につけます。
その場しのぎのような対処の仕方ではなく、まずは自分自身をしっかりと理解し、ストレスの対処方法やストレスとの付き合い方を身に付けることができます。

◆マインドフルネス
マインドフルネスでは、自分が感じたり考えていることを「良い・悪い」の評価や判断をせずに、ありのままの考えを受け止めていくトレーニングを行います。呼吸法やボディスキャンなどのトレーニングをとおして、自分の思考や感情を客観的に見つめることで、ストレスに過剰に反応したり無意識に反応したりせず、ストレスを感じている自分を受けとめていきます。
その他、当院では、ジョブミーティングなどのプログラムも実施しております。

パニック障害

パニック障害は、「パニック発作が起きても大丈夫」と自信が持てるようなることが治療の目標です。
はじめは、薬物療法が主ですが、認知行動療法を行うことで、パニック発作や苦手な場所を怖れずに自由にどこにでも行け、社会生活を楽しめるような状態になることを目指します。

パニック障害は、パニック発作ばかりに目を向けられがちですが、発作の時の安定剤などのその場しのぎのパニック発作対策ではなく、再発の不安や苦手な場所の克服、体の慢性的な不調に対する不安などの根本治療が必要です。

そもそも、パニック発作自体は命に危険はなく、むしろ身を守るために備わった反応ですが、患者様の誤った認知で悪循環に陥り、日常生活に支障をもたらすのです。
つまり、脳内で「火災報知器が火事でもないのに誤作動しているような状態」であり、この誤認知の修正と悪循環を改善していくことがパニック障害の治療です。

◆薬物療法
当院の薬物療法では、SSRIを主として治療します。パニック発作をベンゾジアゼピンなどの安定剤で抑えているだけでは、根本的な治療になりません。
これらの「発作止め」「お守り薬」と称される安定剤は、発作を抑えるための頓服であり、根本的な克服には役に立たず、かえって悪化させることもあります。

パニック障害の治療は、「またパニック発作が起きたらどうしよう」という不安に怯えることなく、「パニック発作が起きても大丈夫」「薬がなくても自分の力で対処できる」という自己効力感を持てるようになる治療を行うことが大切です。

◆精神療法
当院では、パニック障害専門の治療プログラムをご提案しています。
その中の一つに、同じパニック発作の悩みを持つ仲間が集まるグループ療法があり、2006年から500人以上の方が参加され、多くの方がパニック障害から回復しています。
呼吸コントロール法や段階的曝露療法、身体感覚曝露といった、パニック障害や広場恐怖の克服にとても有効な治療法を、同じ悩みを抱えた仲間と一緒に実践することができるのは非常に心強く、高い治療効果があります。

他にも、必要に応じてマインドフルネス、認知再構成法など、患者様一人ひとりに役立つ最適なプログラムを組み合わせて治療します。

社交不安障害(あがり症)

社交不安障害には、スピーチ恐怖や視線恐怖、震え恐怖、赤面恐怖、嘔吐恐怖など、様々な症状のタイプがあり、重症度によっても治療が異なるため最初の診断が重要です。また、うつ病やパニック障害、アルコール依存症、発達障害、双極性障害などの合併症の有無も、しっかりと見極める必要があります。

当院では、薬物療法と精神療法を組み合わせながら、最大限の効果と最小限の投薬量を目指し、再発リスクの少ない治療を行います。治療を行うことで、「相手は自分が思っているほど自分のことを悪く思っていない」と確かめて気づき、人前で失敗しても良いと思えることで、諦めていた社交を楽しめることを目指します。

当院には、同じ社交不安障害(あがり症)の悩みを持つ患者様が集まるグループ療法があり、2006年から500人以上の方が参加され、多くの方が回復しています。薬に頼らず、再発も少ないとされる認知行動療法やマインドフルネス、アサーションなどの治療法をもとに、社交不安障害(あがり症)に特化したプログラムを同じ悩みを抱えた仲間と一緒に実践・体験することは非常に心強く、高い治療効果があります。患者様一人ひとりに役立つ最適なプログラムを組み合わせて、治療をお勧めしています。

◆薬物療法
当院の薬物療法では、SSRIを主として治療します。注意点としては、社交不安障害は、アルコールや処方薬に依存しやすい傾向があります。人前で緊張したりあがったりすることがつらいため、安定剤を処方してもらい、お守りとして持ち歩いたり服用される方が多くいますが、お守り薬に依存している状態では社交不安障害は治りません。

当院では、薬物療法と精神療法を組み合わせながら、お守り薬などを必要としない薬物療法を実践していきます。

◆精神療法
当院では、社交不安障害に特化した、専門の治療プログラムを提案しています。社交不安障害の認知行動療法では、まず病気や症状について理解を深め、不安な場面やその時の安全行動や回避の悪循環を整理します。
その後、自分の不安な様子に向いてしまいがちな意識を周りに転換する練習を行い、考え方の幅を広げ、段階的に苦手な場面に取り組む行動実験を続けて回復に進みます。

アルコール依存症

◆薬物療法
アルコール依存症では、シアナマイドやノックビンなどの抗酒剤で酒が飲めない体質を一時的に作り出し、飲酒をしない習慣を作り、断酒の継続を目指します。(抗酒剤が効いている時に体内にアルコールが入ることで、下戸の人のような頭痛や動悸などの不快な症状が表れ、飲酒をしたくなくなります。)
また、レグテクトは飲酒欲求抑制作用で断酒の酒を飲みたい気持ちを抑えてくれ、セリンクロは減酒薬と呼ばれ、飲酒欲求を抑えることに有効です。

◆精神療法
アルコール依存症を患っている方は、酒を好きで飲んでいるように思われがちですが、どこかに対人関係で傷つきやすく、生きづらさを抱えていて、そこから逃れるために飲酒を続けるうちに止められなくなるケースが多く見られます。

アルコール依存症は慢性的に進行するため、一度酒を飲み続けてしまう悪循環に陥ってしまった場合は、当院のスタッフや同じ境遇の仲間たちと一緒に問題を整理し、再飲酒のリスクや再飲酒をした時の対処を適切に行っていくことが重要です。

・アルコール依存症に特化した認知行動療法
当院では、アルコール依存症の認知行動療法プログラム(SMARPP)を行っています。
当院のスタッフやアルコール依存症の治療を行う仲間と一緒に、アルコールが心身に及ぼす影響や、なぜ断酒が必要なのかについて学び、飲酒のきっかけになりやすい状況や気持ちを整理したり、自分の問題を振り返ります。将来に渡って酒を止め続けていくための方法を学び、断酒の継続を目指します。

・グループ療法
アルコール依存症の知識と同じ境遇の患者様の話を聞くことで、悩んでいるのは自分だけではないことを実感するとともに、ありのままの自分を受け止めてもらえる場で、自分の体験を素直に話すことで、自分が抱える問題を振り返って整理をしていきます。こうしたグループ療法への参加を継続しながら、一日一日、少しずつ断酒を継続していきます。

特に女性のアルコール依存症は自己評価が低い傾向にあり、生い立ちや親、夫、姑、子供、家族の葛藤など女性特有の悩みやうつ病や摂食障害などの合併症も多いため、女性だけで話し合えるグループを開催しています。

・デイケア
長年の飲酒によって崩れた生活や睡眠リズムを規則的な状態に整え、健康的な日常生活を取り戻していくためのデイケアです。みんなで一緒に食事を摂ったり、体を動かすスポーツプログラムなどに参加します。
また、仲間とのコミュニケーションの時間の中で、アルコール依存症の苦しみを一人で抱え込まず、問題に向き合っていく練習を行います。

思春期の不登校・引きこもり(中学生以上)

思春期の不登校や引きこもりという現象に目が向きがちですが、当院では、お子様を取り巻くご家族の考え方やコミュニケーションについて見つめ直し、視野を広げるための家族グループ療法を行なっていきます。
ご家族の問題や変化をお子様が背負い、その結果として不登校や引きこもりになっているケースはよくあることです。
お子様だけの問題ではなく、親御様が家族の問題として治療や改善に一緒に取り組むことが大切です。

ただし、当院は児童精神科ではないため、児童(小学生以下)の治療を行うことはできません。

◆精神療法
当院では、ご家族に向けたプログラムやお子様に対するカウンセリングなどを行い、ご家族の協力を経ながら、お子様本人のコミュニケーションを健やかなものに戻すことを目標にします。

なお、治療を行う際は、必ずご家族の方も一緒に来院していただきます。
近年は、社会の変化とともに家族のあり方も変わり、昔のような家族間の介入が難しい時代となりました。
不登校や引きこもりは、家庭での環境が大きな作用をもつことが多いため、家族や周囲の方の協力が必須です。

◆精神療法
・ご家族のためのプログラム
まず、不登校や引きこもりという問題の理解を深め、ご家族自身が健康を取り戻し、変わっていくことが大切です。
このプログラムでは、子どもの理解を深める講義やコミュニケーションについて学び、ご家族の方ご自身が自分の生活を豊かにすることなどについて学び、考えていきます。

・お子様へのカウンセリング
当院のスタッフや公認心理師がカウンセリングを行い、お子様が話したい話題で対話を続けることで、「自分が自由に話しても良いんだ」「自分が好きなものを好きでいて良いのだ」「嫌いなものは嫌いでも良いのだ」という感覚を体験しながらカウンセラーとの人間関係を作っていきます。
自由に話せるコミュニケーションの中で、お子様本人が持っている思い込みやコミュニケーションのパターンに気づいてもらい、生活リズムを整えていきます。
できるところからコミュニケーションのパターンを増やし、考え方の幅を広げていくことを目指して取り組んでいきます。

強迫性障害

当院では、薬物療法を主に治療します。治療動機が高い場合、心理士による行動療法(曝露反応妨害法など)を検討することもあります。
強迫性障害は、うつ病や双極性障害、パニック障害、社交不安障害(あがり症)との合併も多いため、それらの症状に合わせて、患者様に最適な治療をカスタマイズしていきます。

強迫性障害の回復は、大きく分けて3段階のステップがあります。
一つ目が、少し良くなったが症状や強迫行為が残っている「軽快」段階。二つ目が、強迫観念が浮かんでも、強迫行為をしたいという衝動がほとんど感じられなくなる「寛解」の状態。最後に、恐怖を感じたり、避けたいと感じるものがほとんどないか、あっても日常生活を支障なく送れる「回復」の段階です。
薬をやめると再燃することが多いため、症状が落ち着いても、継続的な精神療法などでサポートしていきます。

◆薬物療法
「間違えたら大変なことが起こる」という不安が核になっている強迫性障害には、不安の悪循環を改善するために、SSRIを処方します。
増強療法や他の薬で改善することもあり、薬物療法は効果のある治療法です。
不眠症の合併症がある場合は、予後に大きな影響を及ぼすと言われているため、不眠の治療を最優先して行います。

薬物療法を行う場合は、薬の量を調整しながら、必要最小限の投薬量で治療を行います。

◆精神療法
まずは、強迫性障害の悪循環について図などで整理し、患者様が抱える病気や症状の仕組みを理解することから始めます。
そして、自分が嫌だと感じることを一つひとつリストアップし、これまでの「不安を打ち消すために強迫行為を続ける」というパターンを変え、強迫行為をしなくても不安をそのままにしておくことができるよう、少しずつ練習していきます。
これにより、これまで強迫行為に使われていた膨大な時間とエネルギーを、本来の自分のしたいことに使えるようになっていきます。
治療には、患者様自身の積極的な取り組みが大切であり、まずは当院のスタッフと一緒に取り組み、最終的には患者様自身でできるようになることを目指します。

うつ病や社交不安障害(あがり症)、パニック障害が併存している場合は、集団認知行動療法やアサーション、マインドフルネスなどのグループ療法に参加して治療を進める場合もあります。

働く人の発達障害

ADHDは、心理社会的治療と薬物療法が有効です。心理士とのカウンセリングも役に立ちます。
自分が苦手と感じるパターンを知り、それを補うためのコツと工夫を覚えて困りごとを解決していくことが治療の主となります。

自閉スペクトラム症やADHDなどの発達障害は、多くの場合、症状が低年齢の頃に発現するため、診断が比較的つきやすいのですが、大人になってからの発現では、幼少期の情報が少ないことと合併症が加わることで、厳密な診断が困難になることもあります。
大人になるにつれ、不眠や社交不安障害(あがり症)、パニック障害、強迫性障害、うつ病、躁うつ病(双極性障害)などの合併症が加わることが多いため、発達障害とあわせて合併症の治療が必要です。特にうつ病は合併が多く、その治療にはADHDの特性を考慮した工夫が必要です。

◆薬物療法
ADHDは、薬物療法が(ある程度は)効果的なため、就労継続上どうしても必要と判断した場合に限り、医学的に安全であることを条件に、患者様と相談して、コンサータ、ビバンセといった脳刺激薬を処方することがあります。
患者様が依存状態になっていないことや副作用の程度をしっかりと確認した上で処方します。
アトモキセチン(ストラテラ)やインチュニブが有効な場合もあります。こういった薬剤を上手く取り入れることで、就労を継続されている患者様が多数います。

◆精神療法
発達障害という障害の特性を念頭に入れながら、会社や周りの方との付き合い方を工夫し、「その人らしさ」を尊重した暮らしができることを最優先します。心理士とのカウンセリングも役に立ちます。

また、当院では、福祉サービスを受けながら障害者枠での就労支援も勧めており、ハローワーク(障害者就労担当)や就労移行支援事業所、就労支援事業所などと連携しています。

認知症

認知症の治療法は、認知症を引き起こす原因となった病気や、症状の進行度合などによって異なります。
特に、アルツハイマー型認知症は逆向性健忘とも呼ばれ、物事を新しい順に忘れていくため、過去の記憶を頼りに周りを見てしまうことで、自分がどの時間軸にいるのかがわからなくなり混乱していきます(見当識障害)。
こういった認知症患者様の中にあるルールのようなものを理解することで、患者様本人だけでなく、家族の方の不安や苛立ちも軽くなります。
当院では、まず、ご本人やご家族の要望をお聞きした上で最適な治療法を実践していきます。

◆薬物療法
認知症は、認知症状の進行を遅らせる処方薬や、不安や妄想、不眠などの症状を抑えるための処方薬による治療を行なっていきます。
記憶障害そのものを改善できるわけではありませんが、進行を少なくとも1年間程度遅らせることができるといわれています。
イライラした感情を抑え、気持ちをおだやかにする働きがある薬を処方することで、患者様の感情が安定し、介護するご家族や周りの方にも余裕が生まれ、意思疎通が良好となることで認知機能の改善も期待できます。

◆精神療法
当院では、現在、通院されている病気や服用されている処方薬をチェックし、医師の指示どおりに服薬できていなかったり、6種類以上の薬を服用されている多剤服薬(ポリファーマシー)の可能性がないかを確認します。薬を整理しただけで認知症が改善するケースも珍しくなく、認知症治療においては、まず最初に処方薬のチェックを行うことが大切です。

また、当院の院長である加藤正は、認知症サポート医として認知症初期集中支援チームに関わり、名古屋市瑞穂区地域包括支援センターと連携し、地域や家族の相談事業に携わっています。患者様やご家族の要望をお聞きした上で、いきいき支援センターなどの地域のサポート資源を最大限活用しながら、患者様の最適な治療とご家族のサポートを進めていきます。

復職デイケア

復職デイケアは、様々な悩みや病気を持つ患者様が、社会生活への復帰や居場所づくり、コミュニケーションを求めて参加する治療の場です。
集団での治療プログラムとなりますが、参加される患者様それぞれに悩みや問題、それに対する治療目標や目的があり、それぞれの目標にあったプログラムや活動をしていくことで回復を目指しています。

心の病気の治療では、患者様が安心して日常生活を送れるようになることを目指しますが、この状態で社会生活や職場に復帰してしまうと、再び休職に至ることが多々あります。
職場は、日常生活の場と比べると常に多くのストレスや人間関係にさらされるため、復職後に症状が再発するケースが少なくありません。

当院の復職デイケアでは、患者様の社会生活や職場復帰を目指して、就労を続けることができるような状態までリハビリを行い、スムーズな職場復帰を支援しています。
さらに、復職後の再発・再休職を予防するための支援もしています。

【復職デイケアの主なプログラム】
◆オフィスワークプログラム
読書や資料作成、疾患学習などを通して、仕事に必要な作業能力や集中力のリハビリを図ります。

◆健康促進プログラム
ヨガや気功などを行うことで、復職後の仕事を継続するために必要な体力づくりを行います。

◆アサーションプログラム
講義やグループ参加者同士でロールプレイを行いながら、自分と相手を尊重できる自己表現のスキルを学びます。

◆マインドフルネスプログラム
「今、この瞬間」に気づくためのワークを通して、不安や怒りといった感情・思考と付き合うための練習を行います。

◆集団認知行動療法プログラム
自分自身の物事に対する考え方(捉え方)や行動のパターンに気づき、その幅を広げるための訓練を行います。

◆再発予防プログラム
復職後の悩みや困りごとに対して、当院のスタッフや他のメンバーと話し合うことで、再発・再休職を防ぎます。

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