<プロフィール>
・職業:小学校教諭(5年目) ※昨年12月より休職中、今年3月退職予定
・現在の休職を含め3度の休職を経験。いずれも期間は約半年間。
・昨年入籍、今年挙式予定
<病気になるまでの経緯>
◆夢だった教師の仕事
子どもが大好きで、自然な流れで教員免許が取得できる大学に進学。
団塊の世代の方達が多く定年退職を迎える時期と重なって、教師は大量採用期。
幸運に恵まれ、採用試験にも合格。
学生時代から、教育実習だけでなく、インターンシップや支援ボランティアを経験。
覚悟はしていたものの、やはり学級担任は本当に大変。
子どもの教科指導、生活指導、クラス経営、保護者対応、職員会議、学年会、事務処理…等
毎日帰宅は遅く、持ち帰り仕事や土日出勤も当たり前。
子どもが下校するまでは、トイレに行く時間すらない。
始業時間から、ずっと神経が張りつめています。
やっと放課後、と思っても会議が毎日のようにあり、保護者からの電話もひっきりなし。
自分の仕事にやっと取り掛かれるのは、定時をとっくに過ぎていました。
こんな風に書くといいところが全然なく、ただ過酷なだけのようになってしまいますが、
元々明るく楽観的で、嫌なことがあってもすぐ忘れ切り替えられる性格だったこともあり、
初任の時は、毎日が新鮮で、今思い返しても楽しかったと感じます。
しかしその一方で、楽しかったこの時から、私の心は少しずつ不安定になっていたとも思います。
基本的に温かい保護者の方が多いですが、無理難題を押し付けてくる方もいます。
同僚でも、「何でこんな人が先生やってるの?」という方もいます。
すると、どうしてもそちらに時間や労力がかかってしまいます。
本来1番大切にしたい子どもとの関わりが疎かになっていくのが苦痛でした。
そして、ある日突然心の安定が崩れ、気づけば手遅れになってしまっていました。
◆体調の異変 ――まさか自分が「うつ病」にかかるなんて――
それは教師になって3年目のある日、急にやって来ました。
不眠、朝起きられない、原因不明の嘔吐・下痢・高熱、食欲低下、ひどい耳鳴り…
それらは段々ひどくなり、最終的には自殺願望も出てきました。
朝電車を待っていて、「ここで飛び降りたら学校に行かなくてもいい」と思うのです。
今までの経験上、そんなことがなかった私は、どうしたらいいかわかりませんでした。
一人暮らしでしたが毎日母が来てくれていました。
母曰く、毎日私は持ち帰った仕事をしながら、号泣していたそうです。
朝の支度中に、意識を失って倒れ、痙攣が止まらないこともあったそうです。
そんな私を見ていられず、母が代わりに学校へ行ってくれ、休職を申し出てくれました。
そのときの悔しさは、鮮明に覚えています。
学校に行きたい、行かないといけない。でも行けない。
急に学校を休んで、クラスの子どもや保護者、同僚に迷惑をかけているという罪悪感。
教職で頑張っている友達と、自分を比較することによる劣等感。
社会人として、親が代わりに休職を申し出るなどという非常識なことは有り得ません。
ずっと自分を責め、憎み、とにかく辛かったです。
でも、今こうして振り返ると、そこで止めてくれた母には心から感謝しています。
母がいなければ、今私はこの世にいないと言っても過言ではありません。
それからというもの、たくさんの病院に行きました。
精神的なものからくる体の異常ということで、「うつ病」と簡単に診断されがちですが、
うつにも色々な種類があります。
症状も様々です。
私の場合は、診断名は「うつ病」でしたが、不安障害や適応障害、自律神経失調症など、
そういうものからくる、抑うつ状態ということでした。
しかし、元々の私の性格は、うつ病の特徴とは相反していましたし、
何より当時の私は、うつ病に対して偏見を持っていました。
うつ病は、心の弱い人がなるもの。自分がなるわけがない、と。
友達にもカミングアウトできず、一切電話やメールができない時期もありました。
◆うつの再発
1回目の休職の後、少しずつ「うつ病」とも上手く向き合えるようになり、
療養のおかげで、体調も大分回復し、新年度から復職しました。
しかし、すぐに体調を崩し2回目の休職。
やはり教師は公務員で、ならし勤務(例えばリズムを戻すまでは午前中のみ出勤する等)ができないので、
また多忙な日常に急に戻ってしまい、体が悲鳴を上げたのだと思います。
また、休職した場合、原則は同じ学校での復帰になるので、どうしても周りの目が
気になってしまい、実際保護者の方からはきつく当たられるようになりました。
それも体調を崩した原因の一つだったのでしょう。
教師の場合、メンタルの休職から復職する場合は、市教委と県教委による2回の面談があり、
圧迫面接のようなものもあるので、転職もすごく悩みました。
私の場合、新卒で学校に勤務したため他業種への転職には二の足を踏み、
また、うつ等の理由で転職や退職を即決するのは良くないという当時の主治医の助言もあり、
2回目の休職の後も、結局復職を決意しました。4年目の年度途中(1月)からでした。
何より1校目の学校しか勤務経験がなく、違う学校でも働いてみたいという気持ちが大きくありました。
今はどこの学校も大変ですが、初任校は特に人間関係がギクシャクしていて、
職員室にいると息が詰まり、自分に合わないと感じている面が多々あったからです。
ちょうどこの時期に、付き合っていた彼と同棲を始めました。
彼は私が教師を続けることに反対していましたが、私の決断を心から応援してくれました。
家に帰って、いつも励ましてくれる家族がいて、辛い時も本当に心強かったです。
その後、希望通り転勤することができ、職場環境にも恵まれ、
学級担任も外してもらい、のびのび楽しく仕事ができました。
しかし、そんな楽しい中でも、どこかで疲れが溜まったのか、また体調を崩してしまいます。
自分で自分に呆れてしまいましたが、職場の方もすごく優しく休職を勧めて下さいました。
そのご厚意に甘えて現在3回目の休職中です。
◆退職を決意
3回目の休職にあたり、思い切ってかかりつけの病院を変えました。
特に今回の休職は、明確な精神的負担の理由がわからず、自分の心を整理したい思いがあって、
カウンセリングが定期的に受けられる病院を、知人に紹介してもらいました。
そこのカウンセリングを受けて、ずっと悩んでいた退職を決意しました。
もちろん経済的な余裕はなくなりますが、旦那はバリバリ働いていて、
「いつ辞めてもいい。むしろ家事をしてくれた方が助かる。」と言ってくれていました。
教師の仕事を自信を持って「好きだ」ということも今はできません。
子どもは好きですが、先生として関わるのは正直もうしんどいです。
楽しそうに教職に就いている友達を見ていると、自分の無力さに哀しくなります。
こんなことをカウンセラーの方に、色々お話していると
「仕事が続いている人が別に偉いわけじゃないし、仕事に見切りをつけて辞めるのも賢い選択だ」
と言われました。
ただ教師という職業が自分に合わなかったから、また新しい人生を切り拓く。
教師としての自分の代わりはいくらでもいるけど、人生における自分の代わりはいない。
旦那と新しい家庭を築くことで、もっと自分に関心が向いて、大切にできるようになる。
そう考えると、お先真っ暗だった未来が、少し明るく見えるようになりました。
まだ、未だに眩暈や頭痛等の症状は続いてはいますが、長い付き合いになるだろうと、
お友達になる感覚で、軽く考えています。
仕事に追われ、常にイライラしていた自分から、ゆったりのんびりマイペースな
本来の自分に戻りつつあります。
もちろん嫌なこともあるし、その度に思い悩みますが、そんなことさえ楽しいと思える時もあり、
少し昔の自分に戻れているのかなとうれしくなる今日この頃です。
<治療の内容>
◇問診
当たり前ですが、どの病院でもあります。
自分にどんな症状が起きているのか説明し、またこれからどうしていくかを相談します。
こればっかりは、先生との相性もあるので、実際に行ってみないとわかりません。
私の場合、初めて行った病院の先生は、優しく傾聴してくれはするものの、
「どうしてこうなったのかな?」「どうしたいのかな?」というように
患者側から引き出してくれようとしているのはわかるのですが、
その時は落ち着いて自分自身を振り返れず、どうすれば良いのかわからなかったので、
余計混乱してしまいました。
2つ目に行った病院と、現在かかりつけの病院の先生は、何でもはっきり言われます。
特に現在の主治医の先生は、後ろ向き発言をしたときは厳しく叱咤されることもある程です。
これまで精神科関係で計3つの病院にかかりましたが、はっきりした物言いをする先生が
自分には合っているように思います。
しかし、逆に一緒に考えてくれるような先生が合う方もいらっしゃるでしょうし、
口コミが良いからといって、自分にとって良い病院とも限りません。
合う先生が見つかるまでは、根気強く通って欲しいと思います。
◇脳波、CT検査
幼少期てんかんだったこと、意識を失って倒れたときに痙攣があったことから
念のため検査をしました。
結果は何もなく正常で、やはり精神的なものからくる症状ということでした。
上記以外にも、定期的にストレス度のチェックや、採血がありました。
◇カウンセリング
精神的なものからくる諸々の症状があり、また自分の心がモヤモヤして
整理がつかない人は、是非受けることをお勧めします。
どうしても問診だけでは、最近の健康状態を伝え、悪いところがあれば
少しでも良くなる薬を処方され、次の診察までに様子を見て、
また次の診察で薬の効果等の報告をする、という一連のパターンに留まってしまいます。
カウンセリングは、比較的治療費も高いですが、自分の気持ちを少しずつでも伝えれば、
カウンセラーの方が整理してくれ、また今後の治療の見通し等もアドバイスして下さいます。
実際、私もカウンセリングを受けて、自分の気持ちが整理され、精神的にかなり楽になり、
自然と眩暈等の症状も、良くなってきています。
◇箱庭療法
2つ目の病院で受けるよう言われたので、受けました。
箱の中に砂が入れられており、そこにおもちゃ等を使って、自由に作品をつくる
一種の心理療法です。
作っている時の様子や、できた作品を見て、心理状況を診断されます。
箱庭療法を受けて、症状が良くなったということは私はなかったですが、
遊び感覚でできるので楽しかったし、そこがこの治療の目的であると思います。
深層心理もわかるようで、実際かなりの疲労度が伝わると言われました。
作品のどのようなところから、そのように診断されたのかはわかりませんが…。
<薬の効果や特徴>
◇パキシル
うつ病患者によく処方される抗うつ剤です。
初めに行った病院で処方されました。
眩暈やひどい眠気等の副作用があり、むしろしんどくなった気がします。
◇サインバルタ
2つ目の病院で処方された抗うつ剤です。服用していた期間も1番長いです。
現在かかりつけの医師曰く、
「最新だけど、ただそれだけ。ゼロが1つ多い高額な薬」だそうです。
副作用は慣れるまで少し胃もたれ程度で、そんなにありませんでしたが、
抗うつ剤が効いているというより、ただ私の心が安定していたことで、
少し快方に向かったのだと思います。
実際、この薬を服用していても、再発しましたので…。
かなり値段が高く、毎月高額の薬代を負担していました。
今考えると、お金を捨てていたように思えてしまいます。
◇マイスリー
2つ目の病院で、不眠の症状が出たときに処方してもらいました。
服用すれば眠ることはできましたが、逆に朝起きられなくなったり、
日中もぼーっとしてしまうことが多く、あまり服用しませんでした。
◇リーゼ
現在かかりつけの病院で、初めに処方された安定剤です。
すごく軽いもののようで、副作用もありませんでした。
始めは効いているように感じましたが、年始から急に眩暈がひどくなり、
現在はリーゼよりも少し強めの安定剤に変わりました。
◇メリスロン ※現在服用中
現在かかりつけの病院で、処方中です。眩暈どめの薬です。
副作用はありませんが、効果も左程感じません。
「なぜ処方されているの?」と疑問に思いつつも、言う事を聞いて服用しています。
◇ソラナックス ※現在服用中
現在かかりつけの病院で、処方中です。リーゼより少し強い安定剤とのこと。
副作用はありません。とは言っても、薬が変わったばかりなので断言はできませんが。
この薬に変わってから、少し安定し、眩暈も多少マシになっている気がします。
<現在の過ごし方>
生活のリズムは崩さないようにし、3食きっちり食べます。
家事をしながら、趣味の読書や映画鑑賞、ピアノを満喫したり、
家にいてばかりも良くないので、体調が良い日はショッピング等に出かけ、気分転換もしています。
友達とも約束して、ゴハンに行ったりできるようになりました。
もちろん体調が悪い日もあるので、その日は家事もお休みでゴロゴロしています。
最近は挙式の準備が忙しくなってきたので、追われている感も否めませんが、
あれしたい、これしたい…とワクワクする気持ちの方が大きく、充実しています。
<同じ病気を抱える方へ>
この病気は、誰でもかかる病気だと思います。
しんどい時は、本当に辛く、死んでしまいたい気持ちになることもあるでしょう。
でも、無理して治そうとせず、長くゆっくり付き合っていこうと思うと、
私の場合はすごく楽になりました。
また、周り人の理解も、とても大切です。
自分一人で抱え込まず、少しでも悩みを打ち明けられる人を増やして欲しいです。
周りが敵ばかりに見えても、味方が一人でもいれば、生きていけます。
今が人生のどん底なら、それ以上落ちることはありません。
自分の人生、何より自分自身を大切に労わって欲しいです。
そうすれば、今までの見方が変わって、こんな自分でもいいかと思えるようになると思います。
拙い文章でしたが、これを読んで下さった方が、少しでも元気になってくれればと願っています。