まさか歯茎の中に腫瘍ができるなんて…顎骨腫瘍(角化嚢胞性歯原性腫瘍)
蓮華草612
(40歳代・女性)
| 病気 | 顎骨腫瘍(角化嚢胞性歯原性腫瘍) |
|---|---|
| 病院 | 大阪大学歯学部附属病院 |
| 製薬 | テグレトール錠100mg、リリカカプセル75mg、メチコバール錠500μg |
| 関連 | 歯と歯茎の痛み・腫れ・出血 |
2015年春、かかりつけの歯科医を変えたのがきっかけでした。
それまで年に1度は歯の定期検診にも通っていたのですが、
ここ5年ほど通っていた歯科医は積極的にパノラマ(歯全体のレントゲン)を撮るタイプではなく、
虫歯で痛むなどの場合は痛む歯だけレントゲンで確認という治療スタイル。
職場が変わったのをきっかけに、評判のいい歯科医で定期検診を受ける事にしました。
初診ということで、パノラマを撮ったところ
いきなり歯科医から「左下顎の中に腫瘍ができていて、それも結構な大きさになっている。たぶん良性の顎骨腫瘍だろうけど、大学病院を紹介するから摘出手術を受けて」と言われ、呆然としました。
顎骨腫瘍(がっこつしゅよう)って初めて聞いた…。
ネットで調べてみるも、情報も少ししか出て来ないし、不安を抱えたまま大学病院へ。
レントゲンやCTの結果、左下顎の3分の2の範囲に腫瘍を確認。
担当となった准教授の説明によると、まず生検をして良性か悪性か、良性でも腫瘍には種類があるので何の腫瘍なのかを特定した後、全身麻酔で手術。
顎骨腫瘍は良性でも再発の可能性があるので、奥歯2本ないし3本を抜き、顎骨も削って周辺組織を徹底的に除去します。
画像で見たところ、腫瘍が顎の歯槽神経を巻き込んでいるので、なるべく神経切断だけは避けて手術をしますが、神経にかなりダメージを与える事は間違い無いので、唇から顎にかけて、しびれ、感覚や知覚麻痺といった後遺症は残るでしょう。
偶然歯科医で見つかったのなら、何の自覚症状もないだろうし、何故こんな手術を?と思うでしょうが
この腫瘍を放置しておくと、良性であってもいずれ虫歯でもない歯がボロボロと自然に抜け、腫瘍に神経が圧迫されて知覚麻痺を起こすうえ、最終的には顎の骨の自然骨折につながりかねない。
外科的手術以外でこの腫瘍を取り除く事は、現代医学では不可能です。などなど。
歯磨きを怠った訳でもなく、不摂生が原因でもない
顎骨腫瘍は、永久歯が生え終わった後に自然吸収されるはずの歯の素が、何かのミスで歯茎の中に残り、それが腫瘍化したもので、徐々に巨大化するそうです。
私の場合、5年間パノラマを撮らなかったため、発見が遅れてかなりの大きさになってしまっているとか。
生検は、抜歯と同じ部分麻酔をして、歯茎を切開しペロンと歯茎の中を剥き出した状態で
ドリルで穴を開けて腫瘍組織の一部を取り出し、歯茎を縫合。
事前に痛み止めを飲まされていたので、麻酔が切れた後の痛みは想像していたよりは少なかったけれど、翌日DVに遭ったかのように下顎から頬にかけて腫れ上がりました。
後日生検の結果がわかり、角化嚢胞性歯原性腫瘍と診断されました。
嬉しい事に「この腫瘍は再発性はあるけれど、抜歯をせずに歯茎横からの摘出もできなくはないです。再発リスクを少しでも無くしたいなら、従来の奥歯複数を抜歯しての手術になるけれど、あなたはまだ若いし、歯を失うのはいやだろうから抜かずに手術しますか?」と選択肢を与えられたのです。
もちろん、抜歯せずにお願いします!と即答でした。
再発したらその時はその時でいいや、と気持ちがラクになりました。
初めての全身麻酔、気がついたら手術は終わっていました。
その日は痛みと腫れの苦しさで一睡もできなかったけれど、翌日からお粥やムース食を口から摂取できるように。
回復も早く、当初の入院予定2週間が、5日で退院させてもらえました。
手術直後、摘出した腫瘍を見せてもらったのですが、横5㎝、縦3㎝と執刀してくださった准教授も驚く大きさでした。
再度生検に出して、良性であるとの太鼓判を後日いただきました。
ただ、切って終わりの手術じゃなく、それからの通院がすごく大変でした。
まず切除した歯茎内組織の空洞を埋めるため、滅菌したガーゼを歯茎横の穴から詰めていて
週に3回ペースで交換するのですが、これが痛いのなんのって。
たとえ2~3日とはいえ歯茎の中で組織がガーゼ巻き込んで回復していき、それを容赦なく剥ぎ取るので、通院の朝は憂鬱でした。
それと同時に麻痺も相当残ってしまったので、少しでも神経機能を回復させるため
同じ大学病院内の麻酔科で「星状神経節ブロック注射」も受ける事になったのですが、首ののど仏のすぐ横に麻酔薬を注射するのです。
このブロック注射による一時的な後遺症として、声が出なくなる、左腕が痺れて動かないなどが何度かありました(30分程度で回復します)
手術直後は麻酔無しで唇にピアス開けられるよ!っていうほど感覚が麻痺してしまってて、目を瞑ってたら唇や顎付近を人に触れられても気がつかない状態だったのですが
ブロック注射と時間経過による自然治癒力のおかげで、
麻痺レベル(MAX 1000)
・手術後2週間目 960
・手術後4週間目 640
・手術後10週目 580(以降、レベル固定)
ちなみに麻痺が全くない右顎の数値は「20」(正常値)です。
ガーゼ交換とブロック注射は術後3ヶ月ほど続き、手術より通院のほうが時間的にも身体的にも精神的にも負担でした。
麻痺に関しては、物理的な麻痺なので薬物での完全回復はほぼ見込めないものの
メチコバール服用3ヶ月→リリカ服用3ヶ月→テグレトール服用3ヶ月
それと星状神経節ブロック注射を1クール(20回注射)が終わった後は
同じ麻酔科内で鍼灸による治療も月に1回ペースで続けています。
(鍼灸は保険適用外なので、1回あたり5000円弱の自己負担です)
麻痺は、左下唇から顎にかけて、ずっと麻酔がかかったような痺れ感と触れると電気が走るようなピリピリ感が皮膚に広がります。
また、温度感覚が左下口腔内では全く感じなくなったため、熱い食べ物は口にできなくなりました。
痛覚も無くしてしまったので、咀嚼中にうっかり左唇を噛んでも気づけず、食後は鏡で食べ物がついてないか、噛んでないか、火傷してないかを確認するようになりました。
術後2年が経ち、半年に一度のCTでも再発の兆しもなく、削った顎の骨もうっすら自己再生してきているそうです。
術後後遺症の麻痺にもかなり慣れてきました。
揚げたてジューシーな唐揚げ、熱々のラーメン、いつか食べられる日が来るといいな。
最後に。
歯の定期検診は大切ですよ!
歯石のクリーニングと一緒に必ずパノラマも撮ってもらってくださいね。
私も腫瘍の発見があと3年早かったら、きっと後遺症ももっと軽かっただろうな、と
麻痺した口の中を歯磨きする度に思ってしまいます…。
