25歳の頃、健康チェックで通院していた婦人科で、医師から子宮筋腫があることを伝えられました。
子宮の外側にある漿膜下筋腫という、比較的自覚症状の薄いもので、大きさも3cm程度では、すぐ手術うんぬんという話しではありませんという説明でした。
半年に一度のペースで経過観察をしていましたが、いつも大きさが変わっていないので、あまり気にしなくてもいいかなという思いや、忙しさに紛れてそのうち行かなくなってしまいました。
最初の3・4年は、きちんと行っていたと思います。
34歳で結婚をして、それに伴う引っ越しなどもあり、さらに忙しい一年を過ごしました。
落ち着いた頃に新婚旅行にも行き、すっかり体のことなど忘れていたのです。
気がつけば、結婚して二年ほど経っていましたが、赤ちゃんを授かる兆しはありませんでした。
年齢が年齢なので、あまりゆっくりしたくなかった私は、婦人科に相談することを決めました。
調べたところ、不妊相談など、今でいう”妊活”の相談に乗ってくれるような専門の婦人科が近所にありました。
夫を誘って訪れて、内診を受けたところ、医師から
「子宮筋腫がありますね。今、7.8センチくらいあるようです」
と伝えられ、その時になって昔のことを思い出しました。
「子宮筋腫がある場合の妊娠ですが、腹痛ですとか早産のリスクがあるので、出来れば手術することをおすすめします」
ただでさえ高齢出産になってしまうのだから、避けられるリスクは避けたい!
そう考えた私は、医師のすすめに従って、総合病院での手術を選択することにしました。
紹介された先の大和市立病院の医師は、紹介状の内容と私の話しから、まず先に病院内での手術のスケジュールを押さえてくれました。
そして、今日もし時間があれば、手術前検査で各検査室を回って帰って下さいと言われました。
手術前検査では、血液検査・心電図・レントゲンなどを行います。
私の状況を理解した上での素早い対応は、とても嬉しく信頼が出来るものでした。
改めて内診を受けた際に、別にもう一つ1cm程度の小さい筋腫が見つかったのですが、場所が子宮の中にある粘膜下筋腫という、ともすると不妊の原因にもなり兼ねないものでした。
私は、子宮筋腫が二個あったことに驚きました。
しかし、手術をすることが決まった以上、赤ちゃんが出来ないのがたまたまなのか、この子宮筋腫のせいだったのか、もうどうでもいいと吹っ切れた気持ちになれました。
妊娠・出産を希望していることから、開腹するのではなく、より体に負担のかからない腹腔鏡下手術(いわゆる内視鏡の手術です)をして頂けることになり、一週間入院しました。
手術内容ですが、まず全身麻酔と硬膜外麻酔を併用します。
そして、へそを含め下腹部に4箇所の小さな穴を空けます。
それぞれに、カメラや器具を入れて作業するというわけです。
子宮筋腫の切除は、漿膜下筋腫が先でした。
空けた穴から炭酸ガスを入れて腹を膨らまし、視界を確保したら、筋腫をヘビ状になるまで細かく切り刻んで、穴から引っ張るように取り出します。
粘膜下筋腫も同じように、子宮の中に医療用の水を注入して、視界を確保したら、電気メスで焼き切ります。
所要時間は、2時間前後です。
以上は、手術前後の医師の説明から書きましたので、私が実際に見たわけではないことをご了承ください。
処方された薬に関してですが、抗生物質で、術後の感染などを防ぐために飲んだものです。
手術後は、硬膜外麻酔のカテーテルがそのまま痛み止めの薬を入れる役目を果たすため、2・3日は背中に入ったままでした。
手術当日の夜は、ひと晩フットポンプを下肢に装着し、血流が滞るのを防ぐのですが、これが一番つらかったです。眠れませんので。
しかし、食事はとてもおいしかったです。
病院食なので和食中心ですし、子供や老人も食べるためか、柔らかめのおかずが多かったですが、薄味ながらも味はしっかりしている感じで良かったです。
経過はおおむね順調で、問題なく退院に至りました。
その一ヵ月後に診察を受けて、回復も順調な様子なので、これで治療は終わりですと言われました。
子宮の負担を避けるため、あと3回の生理を待ってから妊娠を考えるようにとのアドバイスで、その通り守ったところ、手術から半年も経たないうちに赤ちゃんを授かりました。
既往歴があることから帝王切開となりましたが、妊娠期間中も何の問題もなく過ごせたことで、つらい手術を乗り切ったことを、本当に良かったと思うようになりました。
私のおなかには、たくさんの傷がありますが、これは私にとっては勲章です。