Caloo(カルー) - [特集記事] 運動で痛みが和らぐ腰痛は「体軸性脊椎関節炎」の可能性も。症状と治療法

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運動で痛みが和らぐ腰痛は「体軸性脊椎関節炎」の可能性も。症状と治療法 東邦大学医療センター大橋病院 亀田秀人 先生に聞く

最終更新日: 2017年2月15日

体軸性脊椎関節炎の症状や治療法について、東邦大学医療センター大橋病院 膠原病リウマチ科教授 亀田 秀人先生にお話を伺った。

記者:脊椎関節炎とはどのような病気でしょうか?

亀田先生:脊椎関節炎とは、脊椎(首から腰までの背骨)や胸・骨盤の関節などに炎症症状が見られる病気の総称です。

これらの関節は体の中心線(体軸)近くに位置して、運動よりも体を支える役割を果たしており「体軸関節」と呼ばれます。これに対して肩・股・肘・膝・手足などの関節は体の中心から離れた左右で運動を主な役割としており「末梢関節」と呼ばれます。

典型的な脊椎関節炎は体軸関節を主体とした「体軸性脊椎関節炎」という病気群で、強直性脊椎炎が代表的です。一方、体軸関節にも炎症が見られますが、むしろ末梢関節の炎症が主体となるのが「末梢性脊椎関節炎」という、一見すると矛盾した用語と思われる病気群で、乾癬性関節炎(関節症性乾癬)が代表的です。

体軸性脊椎関節炎でも末梢性脊椎関節炎であっても、骨や関節だけでなく、眼や皮膚、消化管などにも炎症症状が見られることが多い全身の病気です。このように重要な病気でありながら脊椎関節炎について一般にはあまり知られておらず、早期からの診断や治療が進んでいないのが現状です。

記者:体軸性脊椎関節炎の症状とはどのようなものでしょうか?

亀田先生:慢性の特徴的な腰痛がみられます。ほとんどの場合、比較的若い時期(45歳未満)に発症し、安静にしていても改善せず、むしろ運動すると痛みが和らぐ腰痛が特徴的で、加齢やけがに伴う腰痛とは異なります。

体軸関節だけでなく、末梢関節にも痛みが生じたり、眼の病気であるぶどう膜炎などを合併することもあります。また、付着部炎といって腱や靭帯が骨に付着する部位の炎症も特徴的で、特にアキレス腱やかかとの炎症は比較的多くみられます。

経過は各人各様ですが、進行した強直性脊椎炎では体を前後や左右に曲げることが難しい、背骨が固まったような状態になってしまいます。

記者:体軸性脊椎関節炎を疑った場合、受診する診療科はどこになりますか?どのような検査が行われますか?

亀田先生:体軸性脊椎関節炎の主症状は腰痛ですが、腰痛を引き起こす病気はたくさんあります。体軸性脊椎関節炎を疑う前に、まずは近隣の整形外科を受診して、腰痛の原因を調べてもらうことをお勧めします。

腰痛の原因が何であれ、病気がある程度進行していれば、骨盤や脊椎のX線で直ちに診断される場合も多いと思います。しかし、安静よりむしろ運動で改善する特徴的な腰痛で、その原因がX線などでわからないと言われた場合には、大学病院などの基幹病院でリウマチ科や膠原病科を受診するとよいでしょう。

早期診断に最も重要な検査はMRI検査で、X線ではわからない体軸関節の変化や炎症を見つけることが出来ます。また、一般的に白血球の血液型として知られるヒト白血球抗原(HLA)のうちHLA-B27との関連が知られており、HLA-B27が陽性かどうかを検査することもあります。

関節以外の眼、皮膚、消化管の症状で眼科、皮膚科、消化器内科を受診している場合でも、安静よりむしろ運動で改善する特徴的な腰痛がある場合には、一度リウマチ科や膠原病科を紹介してもらいましょう。

記者:現在、体軸性脊椎関節炎に対してどのような治療法がありますか?

亀田先生:運動療法を基本に、疼痛やこわばりを抑えるため、非ステロイド性抗炎症剤(NSAIDs)などの鎮痛薬が使用されます。末梢関節炎の治療として関節リウマチに従来から用いられている経口治療薬が使用されることもありますが、これらは体軸性脊椎関節炎の治療薬としては推奨されていません。

一方、関節リウマチの比較的新しい治療薬であるTNF阻害薬という生物学的製剤のいくつかは、強直性脊椎炎と診断され、NSAIDs等の薬物療法を行っても効果が見られない場合に使用されます。

記者:体軸性脊椎関節炎で今後の新しい治療方法はどのようなものがありますか?

亀田先生:強直性脊椎炎、あるいはそれ以外の体軸性脊椎関節炎の治療として、TNF阻害薬とは異なる生物学的製剤が期待されており、国内外で承認を得るための治験が実施されています。

亀田 秀人先生

亀田 秀人 略歴

  • 平成2年 慶應義塾大学医学部卒業
  • 平成6年 慶應義塾大学大学院医学研究科修了
  • 平成9年 米国NIEHS / NIH客員研究員
  • 平成15年 埼玉医科大学総合医療センター第2内科講師
  • 平成21年 慶應義塾大学医学部リウマチ内科専任講師
  • 平成25年8月より東邦大学医学部内科学講座膠原病学分野 教授
  • 平成27年7月より東邦大学医療センター大橋病院長補佐

所属学会・認定資格等

日本臨床免疫学会(理事)、日本炎症・再生医学会(監事)、日本内科学会(評議員・専門医)、日本リウマチ学会(指導医)、米国リウマチ学会 (international fellow)

主な著書(編集・共著含む)

  • 亀田秀人. 関節リウマチ―病態、臨床所見、診断. 日本リウマチ財団教育研修委員会, 日本リウマチ学会生涯教育委員会 編. リウマチ病学テキスト(改訂第2版). 診断と治療社, 東京, pp88-97, 2016.
  • 亀田秀人. 関節リウマチの新しい治療体系. 土屋弘行, 紺野愼一, 田中康仁, 田中栄, 松田秀一 編. 今日の整形外科治療指針第7版. 医学書院, 東京, pp142-144, 2016.
  • 亀田秀人. 解熱・鎮痛薬、抗炎症薬. 堀正二, 菅野健太郎, 門脇孝, 乾賢一, 林昌洋 編. 治療薬ハンドブック. じほう, 東京, pp1127-1157, 2017.
  • 亀田秀人. 抗リウマチ薬・生物学的製剤の副作用と対策. 福井次矢、高木誠、小室一成 編. 今日の治療指針. 医学書院, 東京, 823-824, 2017.
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