Caloo(カルー) - 難治性の悪性リンパ腫(T細胞型)の場合は抗がん剤がありません。 : 病気体験レポート
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難治性の悪性リンパ腫(T細胞型)の場合は抗がん剤がありません。

杏澄館  (50歳代・女性)

オススメ: 4,109views 2015年09月13日投稿 19votes 0comments

花粉症だった私の父は、毎年シーズンになると近所の耳鼻咽喉科に通っていました。

数年前、それまでと同じ様に鼻が詰まる症状が出て来たので、いつもの個人医院へ薬を頂きに通い始めたのですが、1ヶ月ほど通った時に急にレントゲンを撮る事になりました。

帰宅した父が「鼻の奥に1cmほどの腫瘍が出来ていて癌の可能性があるから、すぐに大きな病院へ行く様に言われた」と医院から紹介状を預かって来ました。

紹介された病院は近くの市民病院ではなく、車で1時間近くかかる総合病院。

とりあえずレントゲンフィルムと紹介状を持って総合病院へ…その日から1ヶ月半ほど外来で検査をしたりして『T細胞型悪性リンパ腫』と診断されました。

その次の診察の時、先生は「T細胞型の中でもどのタイプか更に細かく分類して薬(抗がん剤)の種類を決めるのでまた検査します」と言われましたが、その時点で初診から既に2ヶ月も経っていたので「やけにのんびりしているな…」と不安になりました。

診察室を出てとにかく家へ帰ろうと院内の下の階へ移動したら、後ろから看護師さんが追いかけて来られて「この病院じゃなくて家の近くの市民病院で診てもらった方が良いです。私が手配するのでこの足で市民病院へ行って下さい」と言って下さったんです。

彼女のアドバイス通りその足で市民病院の血液内科へ行くと「今すぐ抗がん剤治療をしましょう‼」と言われて驚きました。

私は「前の病院では、これから細胞の種類を更に細かいタイプに分けて抗がん剤の種類を決めると言われたのだけど、それもせずにいきなり抗がん剤治療をするのですか?」とお聞きしました。

すると「T細胞型は難治性で患者数が非常に少ないので適切な抗がん剤はありません(需要が少ないので製薬会社がT細胞型の薬を開発しないのだそうです)。
なので効果があるかはわかりませんが患者数の多いB細胞型に使う抗がん剤をとりあえず投与します。のんびりしていられないので、すぐに治療を開始します」と説明をして下さいました。

それから「薬が無いのだからT細胞型を更に細分化するなんて無意味な事なんですよ」とも言われました。

きっと、あの時追いかけて来て下さった看護師さんは、これらの事を全て分かっていたから私達に声を掛けて下さったのでしょうね…本当に感謝です。

最初の治療はB細胞型の患者さんに施されるCHOP療法で、少しずつ薬を変えながら1年間抗がん剤治療と放射線治療を受けて鼻の奥と両脇下にあった腫瘍が消えました。

しかし、退院から3か月後に再発…病院へ逆戻りです。

どの癌でもそうですが、再発をすると過去に使った抗がん剤は使用できません。

なので、より一層強い抗がん剤を投与する事になりました。

不幸な事にうちの父は抗がん剤の副作用が強烈に現れて、全身の皮膚が火傷をした状態になってしまいました…膨大な数の患者さんを治療して来られた先生が「こんなにひどい副作用が出る患者さんは殆どいません…お父さん以外に1人しか知りません」と言われるほどひどい状態でした。

しばらくして先生に呼ばれ「もう有効な抗がん剤が無いので、これ以上の治療は無理です」と言われました。

結局、抗がん剤と放射線の副作用に苦しんで3ヶ月後に父は亡くなりました。

病棟の看護師さんが「本当に我慢強い方でした…多分普通の人なら叫びまくる様な痛みだったと思います」と涙を流して下さいました。

父の死後から1年後、私自身も癌になり抗がん剤治療を受けました。

その辛さは今までに味わった事のない物でしたが、父の痛みや辛さはその何倍ものひどさだったと思います。

悪性リンパ腫は、日本人に多いB細胞型と難治性のT細胞型とNK細胞型に分類され、B細胞型の標準治療は確立されていますが、T細胞型とNK細胞型に関しては非常に厳しい状況です。

しかし他の固定癌に比べて抗がん剤の感受性は良いと言われていますので、悪性リンパ腫に罹患しても諦めずに心を強く持って下さい。

それと最後にもうひとつ…抗がん剤や放射線の副作用で食事がとれなくなって体力が低下する事が多々あります…しかし体力を温存する事が治療に勝つポイントです。

食べられなくなったら体力も免疫力もみるみる下がって抗がん剤に負けてしまいます。

吐き気はとても辛いですがとにかく食べれそうな物を見つけて(味覚障害になった時はカップヌードルなど味付けの濃い物の方が食べやすいです)体力と免疫力を下げない様にして下さい。

共に頑張りましょう。

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