残存聴力活用型人工内耳挿入術　(EAS): 残存聴力活用型人工内耳は、EAS（electric acoustic stimulation）とも呼ばれる。低音域は音を増幅する補聴器で補いながら、高音域は音を電気信号に変える人工内耳を併用することで、音の聞き取りを改善するハイブリッド型の新しい補聴システム。
これまでの人工内耳装用対象外であった「高音域の聴力はないが、低音部の聴力が多少残っているタイプ」の高音障害急墜型または高音障害漸傾型の聴覚障害患者が対象。適応年齢は、生後12か月以上。なお、EASの装用は聴力の良い方の耳となり、片耳の聴力が正常な場合は対象外となる。
また、これまでの聴力を生かす治療法のため、対象者の聴力障害の進行具合が急速ではなく、「2年間に10dB以内の低下の場合」という基準や聴力レベル、聞き取り調査などガイドラインにて詳細に条件が設けられている。
手術方法は、全身麻酔で蝸牛の回転軸に沿って、内耳の窓である正円窓から電極を挿入する方法を用いるため、蝸牛の負担が少なく低音部の残存聴力の維持が可能となる。さらに手術中や手術後に蝸牛の有毛細胞を保護するためにステロイドを投与して、残存聴力を維持する。
手術時間は、約3時間。入院期間は10日程度。脳が人工内耳の刺激に慣れる必要があるため、成人で平均3か月～半年くらいのリハビリが必要となる。
2010年に先進医療として認められ、2014年7月保険適用が開始したが、まだ手術を受けられる病院は限られている。
料金の目安: 保険適用あり　3割負担　約30万円（ただし、支払い時に限度額適用認定証の提示があれば、10万円前後の負担で済む）

診療科目

耳鼻咽喉科

病気

突発性難聴、難聴

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