脳動脈瘤、血管内治療という手術。信頼できる病院で無事回復。

　「最初に発見されたサイズよりも精密検査で脳動脈瘤が少し大きくなってきつつあるので、破裂予防でくも膜下出血防止のため脳の手術をするので、今しばらくの間仕事を休ませていただきます。」私が手術前々日に職場の人たちに言った言葉です。
脳動脈瘤が発見され前もって休むことを上司に伝えていた私であるが、所属するセクションのスタッフに脳の動脈瘤の手術のことをカミングアウトした。様々な反応があったが、最終的には無事に帰ってきてくださいね。と送られた形で職場を後にした。そして夜は難病と闘っている従妹から励ましのメールが届いて、行ってきますと返信した。

そして手術前日、病院に旦那におくられて入院。大部屋だった。初老の同じ部屋になった夫人が「お若いのに・・。あなたも動脈瘤の手術なの?」と聞いてきた。「はい、目の動脈に通じる大きい動脈に8ミリサイズ程度の動脈瘤があります。破裂防止のため手術を選びました。」「頭蓋骨削る手術するの？それとも血管内治療？」「血管内治療ですが・・。」「私は少し前に頭蓋骨削って動脈瘤を治療したんだよ。手術で動脈瘤を封印できてよかったじゃないですか・・。どくどくの怖さはあるけどね・・。」といった。そして後頭部がチラリ見えた。手術したばかりの生々しい傷であるけれど、きれいに縫合されていた・・。前日は、夕食も食べられた。夜半過ぎから絶飲食がはじまった。
　
翌日同室者から「手術頑張ってね数日はICUだけど・・。大丈夫帰ってこられる。」と見送られICUへ・・。
点滴とハードモニターなどつけられた。私の手術は、テレビで手術室に行くイメージを連想していたが、「アンギョウグラフィーを行った血管造影室での手術だから、手術室ではありませんからね・・。脳の手術は全身麻酔だから、ここで麻酔かけるから・・。」ということで麻酔がかけられやがて意識が遠くなっていくのを感じた。それから先は覚醒するまで覚えていない。

　半分意識を取り戻した時は夕方遅くICUに戻ってきていた。だが声が出ない、力が入らない。少しずつ明確に意識を取り戻したころ口に何かを咥えていたらしく、つばが飲み込めなかった。くわえていたものが取り外され、酸素マスクに変わった。だいぶ呼吸が楽になったころ、旦那がICUにやってきて「動脈瘤にコイルを入れてバルーンでふさぐ予定だったけど
思ったより入口が大きくてコイルが出てきて危険だったからステンドをいれて止めてあるから・・。」という言葉を聞いた。その夜はICUで過ごした。わりとうるさい音と頭痛に耐える私である。
また大腿動脈からカテーテルを挿入していたのでしばらくは寝返りも出来ず看護師さんがする体位変換まで我慢をするしかなかった。翌日の朝からごはんが出た。開腹している人たちとは違って案外早く食べられるんだと思って食べたが、その後嘔吐の連続で、薬まで嘔吐してつらかった。そのつらい中を術後のCTとMRIそしてレントゲン検査が待っていた。当然点滴している。
　
後から知ったことだが、きちんと術後もコイルとステンドで動脈瘤を止まっているのか、再確認のためのものらしかった。三日目私は病棟に戻ってきた。でも最初に泊まった大部屋と同じではなく別の部屋で個室だった。手術終わったらゆったりできて料金もあまりかからない二人部屋を希望していたが、お金が高い個室は希望していなかった。「あいにく二人部屋が満員なのですよ。」とナースがいう。
この時点ではまだ吐き気と嘔吐が続いていたけど、車いすでトイレ介助でまだ点滴がついたままでした。脳にステンドが入ったことにより、血液サラサラ薬を二種類一度に飲まないとならなかったが、それも嘔吐で吐いてしまう。
脳梗塞のリスクが高い状態が続く。ドクターに最初に胃薬と一種類の血液サラサラ薬を服用する。胃薬が効いてきたところで時間差になりますがもう一種類の血液サラサラ薬を服用すれば、もし吐いたとしてもどちらか一方は体に入って吸収しているので少しはリスクの不安から解放されると私が話した。
ドクターはその方法やってもいいよとの許可が下りたのでその方法で服用したら効果覿面吐き気が軽減され嘔吐をしなくなった。でもまた嘔吐した時も考えて点滴用の針ははいったまま・・。
　
一週間程度では退院は無理かもしれないと思った。五日目ぐらいかな食欲がやっと出てきたのは・・。六日目になると体がかゆくなってきていたのでようやく風呂の許可が下りたけれど・・。シャワー浴の一部介助を介護士に頼んだ・・。背中が洗えないからだ・・。太ももには傷はあったけれど、うまくやってくれたんだなと思った。偏頭痛はあったものの自制できる程度のものだ。
担当の医師は多忙のため私の頭の中どんな感じになっているか説明がない。回診に来てはすぐほかの部屋にいってしまうため。数日後、負荷をかけて歩ける状態になった私から話を切り出した。「主人から少しは話はきいたのですが、ステンドが入っているのは、どうしてなのか、医師からの具体的な術後の説明が患者にされてないのはどうしてなのかな？もうすぐ退院なのに。」と回診で話をした。

　翌日別室に呼ばれた。私の脳の中の手術をスライド写真形式でモニターで見せてくれた。「コイルを動脈瘤にまず詰めてみたのですが、ネックと呼ばれている入口が思ったより大きくてコイルが親の動脈に出てきてしまう危険性がありました。それでステンドを使って固定をしました。」と、今にもコイルが親の動脈血管に出てきそうな映像をみた。
「これ出てきたら完全に脳梗塞ですね。わかりました。納得したから結構ですよ。血液サラサラ薬ほぼ一生服用することになるんだね。」と私が笑いながらいいましたが、
「一種類の血液サラサラ薬はその後の経過観察で服用しなくてもいい可能性はありますが、もう一種類は多分・・。」とドクターはそういい。ステンドが入った形の私の脳血管をスライドで見せてくれる。術後検査で写したもののようだ。「今のところはきちんと止まっているけど、落ち着くまでに半年程度かかるから、退院しても定期的に外来でMRIとCTね。あとは残された小さな動脈瘤の経過観察も兼ねますから・・。」との話でした。
その翌日に退院となったわけですが、ドクターもたくさんの患者さんを診ているので忙しくて時間がない。
患者側から術後の説明が聞きたいと意思表示しないと詳しく一対一で説明してくれないと思う。医師は家族に説明したはずだと思うが、患者が意識があり具体的な術後の状態が知りたい場合はこちらから意思表示しないとこんなに詳しくは説明しないだろうと思う。
　
退院後、数週間を経て外来でとりあえず職場復帰OKとの指示あり、そのことを職場に報告しに行く。

私と同じような病気になった方へ、悩んでいる方へ。

自分の病気のことをある程度知っておく必要性があります。
どの部分に動脈瘤があるのか、その近くには何があるのか、どういう神経があるのか、私の場合はそこから始めました。
内頚動脈といっても素人ではどこにあるのかわからないのが当たり前です。場所を調べて　ぞれそれを調べて　たどり着いたのは、頭蓋骨を削るクリッピィング手術だと、かなりの　大手術になるのがわかった次第です。負担もかなりでかいということも知りました。　
　
それと自分にとって納得できて信頼できる病院をまず見つけてください。
ちなみに私は、コイル塞栓術の経験がある病院を探すのに豊富な経験あっても遠いところにするか？県内の近いところにするか？悩んだのですが、何が病院を決めるきっかけになったか、インターネットで未破裂動脈瘤の手術の実績とコイル塞栓術のできる病院を探していました。
2014年と2015年いい病院という本の脳血管の手術実績のデーターが書いてある本で、血管内治療のできる医師がいる病院。脳血管内治療の実績のある病院です。茨城県ではどこがあるのか調べていました。
経験豊富な脳外科医がいてもクリッピングならできるけど、コイル塞栓の方は主体ではない病院もあります。
今回手術をした病院は、そのどちらもできる病院で、ここ数年血管内治療に関してかなりの実績あげていたところでした。都内の遠い病院に行かなくてもここにあるじゃんと見つけたときは半分助かったかなと思ったほどでした。自分で納得した上での手術でした。
　
納得がいかなければ、手術に臨んでもいい結果が出ないと思いますし、まして脳なので病院は慎重に選ばないと後遺症などのトラブルのもとにもなりかねません。最初に受診した病院の治療方針に納得できなければセカンドオピニオンを探してください。いいお医者さんといい病院に巡り合えますように・・。

私自身、まだ定期的に通院は続くので治ったわけではないけれど、一つの試練は乗り越えたということでここで筆をおきたいと思います。