肺癌ステージ4と診断された家族と共に。気分転換とユーモアは心の薬になりました。
茶 (40歳代・女性)
毎年定期検診を受けていた父ですが、2017年3月、レントゲンの結果、肺に怪しげなもやが写っているということで大学病院を紹介されました。
5月に、ガンマーカーの数値やCT検査の結果、悪性腫瘍を覚悟するよう言われ、5月末心臓と肺の結合部分に約5センチのガンが見あると知らされました。肺癌も様々ですが、父の場合は不運が重なり、心臓と近い部分のため切除は不可能。肺に水が溜まっているため、レーザー手術も不可能。胸水は0.5ミリの少なさの為に抜くことも不可能。更に悪いことに同じ肺の上部に転移が見つかりました。
それらを加味した結果、担当の先生が父と私たち家族に、肺がんステージ4であると説明して下さいました。
即病院の入院を予約して、唯一可能な抗がん剤治療が始まりました。
絶望的な状態でしたが、何よりも良かったのは病院に恵まれたことです。父がお世話になっている地元の病院は、偶然にもガン最新の専門医が多くおられ、地元のがんセンターとも連携していました。
先生は、沢山のガン患者を診てこられた為か、明るく思いやりがあり、ステージ4といっても余命が1年と言う訳ではなく様々ですので希望を持って治していきましょう!と力強くまた分かりやすく説明してくださいました。そして、注意点としてインターネットの情報に惑わされすぎないようにとの指示も下さいました。それはネット情報を調べすぎて既に疲れていた私たち家族にとても大切なことでした。
家族で先生にお会いし、全員一致でこの先生を信頼しようと思い、セカンドオピニオンは受けませんでした。
結果から言えば、半年つまりワンクールの抗がん剤治療の結果、父のガンは好転しました。転移と胸水が消え、ガンのサイズは半分になりました。
全ての人が同じ結果になるとは限りませんが、家族として決めて良かったと感じた事は、父の意思をなるべく尊重しようと言うことでした。それで、抗がん剤でフラフラしている中でも、温泉やグルメ店巡りに行きたいと言えば、どんどん外に出るようにしました。自分はインドア派ですので癌になったら、自宅でゆっくり療養したいと思いますが、父は逆に自宅にいたらもっと病気が悪くなっていそうな位アウトドアが大好きで、抗がん剤クールの最後の方には北海道旅行にもお友達と行き、帰ってきて病院の検査結果の朗報を聞いていました。
また、明るいことが大好きで、暗い話題をするとどんどん落ち込むタイプですので、なるべく病気の話よりもそれぞれが経験した楽しい話をしたり父の得意なことを教えてもらったり楽しい思い出話をしたりなど、明るく楽しい雰囲気作りを心がけました。
食事制限は特にありませんでしたが、甘いものはなるべく避け良質の野菜やタンパク質を摂るようにしていました。それから、父とは別居していましたので、会うたびに必ず、癌の部分を触って、小さくなーれ、小さくなーれと呼びかけていました。父も癌にガンちゃんと名前をつけて、ガンちゃん、仲良くやろうぜ〜と話しかけていました。私は居座るなら家賃を払いなさいとガンちゃんを脅かしていました。
ふざけているようで不愉快に感じている方がおられたら申し訳ないですが、半絶望的な状況の中で、ユーモアは何よりも心の薬となった気がします。
また、本人もそうですが、家族もとても辛い思いをしますので、ぜひひとりで抱え込まず、たくさんの人からアドバイスをもらったり励ましていただいたりすると良いと思います。
もちろん見当違いのことをおっしゃる方もいますが、皆さん善意で言ってくださるのだと捉えて感謝し、役立つアドバイスはどんどん家族で共有して、闘病に役立てました。
長くなりましたが、ガンで亡くなる方はまだまだ多く、父も私たち家族もいつ発病または再発するかわかりません。それでも今回学んだ事は、①良い病院を選び②本人の意思を尊重した仕方で闘病し③家族も他の人の助けを求めて、本人をサポートできる心と体の元気を培っておくこと
以上3点が大切な点かと思いました。
まだまだこれからどうなるか油断は禁物ですが、学んだことを生かしてこれからも家族でがんばっていきたいと思います。今は、助けてくださった方々への感謝で1日1日を過ごしています。
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