特定のものに恐怖を感じる不安神経症。３０年以上吐けない。

母が昔から吐きやすく、そのえずき声も凄まじいもので、子どもの頃から母が吐くことに恐怖を感じていました。
当然、そんな恐怖心を抱いてしまうと、自分も吐き気や嘔吐に強い恐怖心を持ってしまい、吐き気がすれば吐いたほうが楽になることは、もっと小さい頃に体験済みなのに、幼稚園の頃を最後に、数年間「吐けない子」になってしまいました。
最後に吐いたのは、小学４年の１１月、夜中にあまりに気分が悪く、吐き気がこみ上げてきて、けれど怖くて吐くことが出来ず、親たちの寝間になっている茶の間で寝かせてもらい、とうとう我慢の限界を超えて、夜中に一度、朝に一度、その場で吐きました。
確かに吐いた後の爽快感はあり、こういうことなんだな、と思いました。
けれど逆に、一度吐いてしまうと恐怖は上書きされ、更に強い恐怖症になってしまい、わたしはいつの間にか、痛みで吐き気から気を紛らわすようになりました。
顔、特に鼻に爪を立てて引っ掻く、手足に猫の爪とぎのような傷をつける、我慢が極限状態になれば、爪楊枝を手の甲に刺して血を流し、痛みではなく吐き気におびえながら、それが去るのを待つ、そんな風にして大人になってしまいました。
しかも、パニック障害がひどくなってから、不安神経症の一環で、その恐怖症はもちろんのこと、吐き気まで強くなり始めたのです。
食べることが出来ない、乗り物に乗りたくない、何かの薬を貰うと吐き気や嘔吐が副作用に含まれていないかをまず調べる、そして一旦吐き気が強まると、嘔吐が誘発されるようでトイレに行けず、床に座り込んだまま体中を掻き毟る、情けない大人になってしまいました。
１０年前には一度しか手を付けずに溜まり放題だった吐き気止めのナウゼリンが、ＯＤは駄目だとわかっていても、毎日、それも一日の大半を占めて襲ってくる吐き気に耐えられず、何錠もＰＴＰシートからむしり取ります。もうラムネ同様で効果がないほど飲んだのは解っているのに、これがなければ吐く、という恐怖が先に立ち、ＯＤを止められません。
息子でさえケロッと吐いているのに、こんな人間はいないとどん底まで落ち込んで、ネットで調べると、パニック発作の一環である吐き気、不安神経症の嘔吐恐怖症、これに悩む人が多いことがわかりました。
催眠療法に２度出かけ、恐怖症が治るわけではありませんが、体の力を抜いてリラックスする方法を教えてもらいました。
確かに、吐き気をこらえているときには、全身に力が入ってこわばっているんです。
外出恐怖を併発してしまい、外に出ると泣きたいほどの吐き気が起きるので、急に全身の力を抜くのは無理ですが、まず肩を、そして首を、腕を、とゆっくり力を抜いて、吐き気なんてしていない、と自己暗示をかけます。

一生この恐怖症と付き合うのかと思うと長生きしなくてもいい！とさえ思いますが、心療内科でセディールやデパス、コンスタンなどを貰いながらも改善せず、むしろ日に日に恐怖度も吐き気もひどくなっていく、これを何とかする方法を、森田療法以外で探したいと思っています。