膝蓋骨脱臼で関節がロッキング、手術をうけたが、変形性関節症になった。 (写真あり)
taku0713 (50歳代・男性)
病気 | 反復性膝蓋骨脱臼 |
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膝蓋骨脱臼は若い女性に比較的起こりやすいと言われているが、
自然に修復するケースが多いため見逃されていたり、
脱臼を繰り返してもちゃんときちんと診察されなかったり、
対処が遅れたため重傷化したり、後々の生活に悪影響をケースが多々ある。
加えて、男性の例が少ないため、私の(苦い)経験から学んだ対応について
レポートしたい。一助になれば幸いです。
【先天的体質とケガの背景】
先天的過伸展(極端に関節が柔らかいため逆方向に大きく曲がる、
私の場合膝と肘が過伸展で、どの医者がみても見たことがないと驚くほどの水準)
このことが原因で膝への負担が負担がかかるうえ、X脚気味になっており
両膝に脱臼を起こしやすい体質であり、膝に負担がかかり問題を抱えていた。
先に右膝に痛みがあり、反復性亜脱臼と診断され、
痛み症状ともかなり悪かった為、手術を受けた(外側肢体乖離)。
左膝については、いつの間にか1度脱臼しており
(そのときは自然修復していたようだが、強い痛みと膝崩れがあった)、
非常に緩いため再脱臼の懸念は高いと当時通院していた主治医、大学病院ともに
言われており、装具を常時着用し、動きについても厳しく制限をかけられていた。
【ケガをしたときの模様】
最初の脱臼から約1年を経過したころ、装具をした状態で椅子から立ち上がったとき、
「ゴリッ」と変な音がして膝が全く動かなくなった。
膝蓋骨がロッキングしたのは明らかだったが、
今回も膝蓋骨が脱臼した瞬間は気づかなかった。
今思えば救急車を呼ぶべきだったのだが、足を無理に何度も動かして
膝蓋骨を自分で修復した。はまった瞬間「ボキッ」とものすごい音がして、
激痛で何時間もうずくまる状態になった。
その日は鎮痛剤を飲んで、仮眠をとり、翌朝最寄りの主治医に診察を仰いだ。
昨夜起こったことを説明し、左膝、膝蓋骨を触診、レントゲンを撮影、
医師の診断は膝蓋骨脱臼、膝蓋骨はグラグラであり、誘発テストの結果も、
指で軽く押しただけで脱臼する状態でいつ脱臼するかわからない、
加えて、装具を付けていて、脱臼を誘発するような動作が全くない日常生活の中の動きで
脱臼してしまったことも考慮すると、脱臼のハードルが著しく下がっており、
「もういつ何をしていても脱臼してもおかしくない状態」と宣告された。
とにかく膝を装具で固定して、動かないようにします。移動時は松葉杖になりますが、
基本的に安静にして、動かないで下さいと厳しく言われた。
今後の方向性の選択肢としては2つ。
1つ目はリハビリで筋力をつけ、脱臼しにくい身体をつくる(保存療法)
2つ目は手術、かなり大がかりなものとなるとの説明。
最終的な選択は患者本人が決めることになるのだが、3回目の脱臼が
いつ起きてもおかしくない状態なので、次、脱臼したらあきらめて
手術しかないでしょう。
リハビリという選択肢もあるが、しばらくは固定が必要で、
すぐにリハビリできるわけではないし、リハビリ期間も数ヶ月は必要になるので、
手術した場合よりも復帰までの期間は長くなるだろうとの説明だった。
一応術式等一通り聞いて、帰宅し、会社に現状について連絡をし、相談をした。
併せて、お世話になっていた大学病院に連絡をとった。
実は今回脱臼した1週間前に診察を仰いでおり、左膝に関しては脱臼のリスクは
まだ大丈夫だろうと言われた矢先の出来事だったのだが、
今後の手術の可能性については話をしてあった。
専門医でこの手術の経験数等からいって、正直こちらの病院で手術をしてほしいと
いうのが私の強い希望だった。
ところが、ベッドや手術の予約が埋まっており、半年待ち、頑張って調整しますが3ヶ月以内の手術は無理ということで復帰までの期間が読めず、
断念せざるを得なかった。
結局、脱臼して診察を仰いだ数日後には入院。膝は装具で全く動かないよう固定され、
車いすとなり、術前にMRI含め様々な検査を受けた。
術式は最近主流の「内側膝蓋大腿靭帯再建術」ではなく
「脛骨粗面内方移動術」というもので、かなり大がかりな手術な上、
後々の変形性膝関節症を起こる割合が高いため、
2004年当時ですら実施例が減り、内側膝蓋大腿靭帯再建術に切り替わっていた。
私が当初手術を希望していた京大付属病院では、通常「内側膝蓋大腿靭帯再建術」
で行っているという説明であった。
手術痕の写真を添付しているが、膝の皿を真っ二つに切るように長さ20cm程度の
骨や腱を大きくいじる大手術となった。
手術自体は成功、大きな脱臼2回をやったにも関わらず、幸運なことに軟骨骨折は
なかった。
内側膝蓋大腿靭帯は完全に断裂していたが、再建手術はおこなっていない。
術後3週間はギプスもしくはシーネで固定、車いす使用により左脚は100%除荷。
その後、レントゲンで手術で切った骨の接合状態をみながら、膝に装具をして
松葉杖や平行棒を使いながら、少しずつ左足に負荷をかけ始めた。
入院は6週間だったが、3割程度加重をかけられる状態にするのが精一杯だった。
その後通院リハビリとなったのだが、術後約3ヶ月で松葉杖をとって歩いてよい
という判断がなされた時点でも、正直、膝の動きや痛みはかなり悪い状態で、
皿の位置にもかなり違和感があった。
レントゲンでは皿はきちんと正しい位置にあるという説明だったのだが、
明らかに皿の動きが異常なうえ、膝の曲げ伸ばしで「ボキボキ」音がして
引っかかるようになった。
リハビリの程度が上がっていくと、膝が悲鳴を上げ、
膝の回復はあきらめざるを得なかった。
可動範囲は大幅に制約され、下りの階段などでは無理な状態となり、
通常の歩行にも支障がでるレベルで回復は止まった。
仕事の復帰を急ぎ過ぎたこともあり、装具をしてまともに歩けない状態で復帰し、
かなり無理をしたことが悪化につながったということも否定できない。
両膝に問題を抱えたまま、無理がかかった歩行を強いられた結果、
膝の軟骨は摩耗が年々進み、
既に術後10年を超えた昨年、両膝変形性膝関節症、半月板損傷
との診断を受けており、
歩行に支障が出ている上、年齢を考えると非常に憂慮する状況とのことである。
私の場合30歳頃に手術を受け、主治医は手術成功というものの、40代にして
両膝ともに重度の変形性膝関節症と診断され、日常生活にも様々な制約を
かけざるを得ない結果となった。
本来なら筋トレが勧められるのだが、私の場合、先天的異常もあいまって、
膝を動かさない静的な筋トレすらできず、膝を動かせば関節の状態がどんどん
悪化するという抜け出せないジレンマに陥ってしまい。
膝の悪化を食い止める術を持つことができず、大変辛い思いをしている。
正直、再脱臼をあまりに恐れるあまり、すぐに手術しないともたないと焦ったことが
裏目にでたと率直に思っている。
やはり、どんなに時間がかかっても自分が信頼を置いていた専門医の元での再診察、
手術をうけるべきだったと思う。正直手術は回避できなかったと思っている。
私の経験からくみ取っていただきたいのは、
・膝蓋骨脱臼については専門医の診断を早期にうけるべき
・膝に関する先天的要因は症状が出る以前に把握することが望ましい
・膝の皿周りに痛みが出たら、早い段階で装具を使うこと
・膝の動きに細心の注意を払うこと
・早期に信頼できる主治医をつくり、脱臼等が起きた場合の対応をよく相談する
・脱臼を繰り返すような事態になったら、どの程度運動を希望するのか含め、
どのような生活を送りたいか、そのためにどういう処置をするのか、
あらかじめ決めておいた方がよい。
ということです。特に、必ず膝蓋骨脱臼の症例を専門とする医師は
全国いらっしゃいますので、情報を集めて受診することを強く勧めます。
あと、全体的に反復性膝蓋骨脱臼は過少に評価されている傾向があります。
発症するのが比較的若い女性が多いこともその一因かもしれませんが、
私のように重傷化したあと処置すると払う代償も甚大ですので、
早めに対策を講じる事を強く勧めます。