最終更新日: 2015年11月18日
記者: 具志林太郎
東先生:手や足の血管が詰まり、血のめぐりが悪くなってしまう病気です。手の先や足の先まで十分な血液が行き渡らないために、手先や足先にしびれを感じたり、痛みのために長い時間続けて歩けなくなったりします。
悪化すると、一日中手足の痛みが続くようになったり、手足の指にできた傷がなかなか治らず、潰瘍になったりする場合もあります。
なお、この病気は全国でもおよそ8000人しかいない希少疾患です。患者数が少なく、かつ確実な治療法が見つけられていないため、厚生労働省に特定疾患(≒難病)指定されています。
東先生:バージャー病は喫煙によって発症すると考えられています。一度発症してしまうと完治することは難しいですが、禁煙すれば、ある程度は症状が治まります。
ただし、副流煙でも症状が悪化してしまうことがあるので、たばこの煙をできるだけ吸わないような環境を整えることが重要です。そのため、家族や職場など周りの人たちに協力してもらう必要があります。
東先生:最も重要な治療法は禁煙です。禁煙に成功しないといかなる治療法でも一時的な効果しか期待できません。そのうえで手足の清潔を保ち、厚手の靴下をはくなど足先の保護を行い、寒いところでは保温に気をつけ、靴擦れを予防するなど傷をつけないように注意することが大切です。
症状によりますが、まずは手足の血流を良くすることが治療の第一の目標になります。血管の詰まりを改善する薬を飲んだり、適切な運動を行ったりすることで、手足の先まで血液が流れるようにします。また、詰まっている場所によっては、人工血管を入れる手術が効果的な場合もあります。
ただし、これらの治療法を組み合わせても思ったほど症状の改善が得られず、痛みや潰瘍がひどく日常生活に著しい影響がある場合には、手足の一部を切断することもあります。
東先生:血管が詰まることが原因で発症する病気ですので、循環器内科や血管外科で治療されることが多いです。
東先生:現在、先進医療として細胞移植による血管再生治療が行われており、一定の治療効果を得ています。しかし、先進医療のため全額自己負担となること、移植細胞をとるための処置が必要になるなどのデメリットもあります。
痛みを伴わない治療として、血流改善を目的とした医療機器の開発が進んでいます。皮膚の上から非常に弱い刺激を与える簡便な手法であり、他の治療法と安全に組み合わせられる治療法となることが期待されています。