単純ヘルペスは再発しやすい。症状が出たら早めに治療を。 明和病院皮膚科部長・にきびセンター長 黒川一郎先生に聞く
最終更新日: 2014年01月30日
記者: 具志林太郎
記者:単純ヘルペスとはどのような病気でしょうか?
黒川先生:単純ヘルペスは単純ヘルペスウイルスによる感染症です。口唇、鼻、眼、陰部などの粘膜や皮膚に痛み、痒みのある水ぶくれが出てきます。再発を繰り返すこともあります。
当院の治療例をお示ししますと、70代の女性の方で、4日前より鼻に軽度の痛みと痒みのある皮疹が出現し受診されました。単純疱疹と診断しまして、バルトレックス(500mg)を内服、アラセナA軟膏を外用して頂き治療を開始しました。1週間後に皮疹は消え、痛み、痒みもなくなり、治りました。その後、3ヵ月後に同様の症状が同じ部位に出現し、再発がみとめられ、同様の治療にて軽快しました。
記者:単純ヘルペスの治療法や最新情報について教えて頂けますか?
黒川先生:治療はヘルペスウイルスに効果がある抗ウイルス剤の内服、外用で治療します。新しい抗ウイルス剤の内服薬も今後出てくる予定です。
具体的に申し上げますと、内服薬としては、バルトレックス錠、ファムビル錠、ゾビラックス錠。外用薬としてはアラセナ軟膏。今後出てくる内服薬としてはヘリカーゼ・プライマーゼ阻止薬がございます。
記者:単純ヘルペスと上手に付き合うにはどのようしたらよいでしょうか?
黒川先生:規則正しい生活をする、十分な睡眠をとる、過労を避ける、強い日光に当たらない、風邪をひかないようにすることなどが重要です。
記者:単純ヘルペスに悩んでいる患者さんへメッセージをお願いいたします。
黒川先生:単純ヘルペスウイルスは身体の中にある神経節で終生潜伏しています。身体の免疫が落ちると単純ヘルペスウイルスは活性化して、症状が出てきます。したがって、疲労が出ないように十分な睡眠を取り、症状が出たときはできるだけ早く抗ウイルス剤の内服を始めることが重要です。
黒川一郎 略歴
- 1983年 関西医科大学卒業、関西医科大学皮膚科研修医
- 1986年〜88年 ベルリン自由大学留学(Research fellow)
- 1988年 関西医科大学大学院卒業(皮膚科)
- 1988年〜1989年 関西医科大学皮膚科助手
- 1989年〜1992年 大阪府済生会中津病院皮膚科医員
- 1992年〜2005年 兵庫県立塚口病院皮膚科医長、部長
- 2005年〜2010年 三重大学大学院医学系研究科 病態解明医学講座 皮膚医学分野 講師、助教授、准教授
- 2011年 明和病院皮膚科部長、兵庫医科大学臨床教育教授、明和病院にきびセンター長
所属学会
日本皮膚科学会, 日本皮膚アレルギー・接触皮膚炎学会(評議員), 日本化学療法学会(評議員), 日本臨床分子形態学会(評議員), 日本研究皮膚科学会, 日本褥瘡学会(評議員), 日本創傷治癒学会, 日本臨床皮膚科学会, 日本アレルギー学会, 日本乾癬学会, 日本組織細胞化学会, 日本医学教育学会, 日独皮膚科学会, 日本痤瘡研究会(理事), European Academy of Dermatology and Venereology
社会貢献
- 日本皮膚科学会痤瘡治療ガイドライン策定委員
- Medical & Scientific Advisory Board (化膿性汗腺炎財団)
- Global Journal of Dermatology and Venereology (Editor-in-Chief)
専門分野
痤瘡(にきび), 痤瘡関連疾患, 上皮系皮膚腫瘍のケラチン発現, 皮膚感染症
受賞歴
- 2008年 関西医科大学同窓会 佐々木賞
- 2012年 第6回日本化学療法学会西日本支部奨励賞
”日本紅斑熱における皮膚由来PCRによる早期診断の有用性”